*****《ある町の人権擁護委員のメモ》*****

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【視解?】


 ルソーは貧しい時計職人の子に生まれ,少年時代から奉公にやられ,酷い目に遭わされました。そこを逃げ出して放浪した末,ヴァラン夫人という親切な婦人に救われました。そのお陰で書物を読み,志を立ててパリに出かけましたが,生来音楽が好きだったので,先ず音楽で身を立てようとしました。子ども時代に歌ったことがある「むすんでひらいて」の曲はルソーの作品です。
 作曲をするうち,ハーモニカの曲に使われるような数字で音譜を表す方法を創案しました。彼は得意になって素人でも音符に親しめると吹聴しましたが,ある専門家に見せたところ,やはり五線音譜でないと,音の高低その他がすぐに視覚に訴えない,数字だと頭の中でもう一度それを翻案しないといけないといわれて,参りました。その後,ある懸賞論文に当選して,文学者の道に入っていきました。
 音楽に限らず社会的な活動の動きを知るために指標を定めて数字というデータを集めますが,数字の並びを眺めているよりも,グラフという図にした方が直感的に状況を理解やすくなります。例えば,2と8という数字を見て,8は2の4倍の大きさとは見えず,考えなければなりません。
 相談や啓発の局面で,いじめやパワハラという抽象的言葉では,その痛みを分かり合うのは困難です。例えば,周りの皆からガイジと呼ばれる毎日であるとか,仕事ができないなら辞めてしまえと上司からいわれるとか,絵に描くように具体的な表現をすることが大事です。相談を受ける際の八何の原則とは,具体的な状況を描き出すということなのです。それができないと,侵害の度合いや確かさの評価ができないことになります。
(2020年02月08日)