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「第 100-03 章」 |
『子育ちは 忍ぶ力で まっすぐに』

■子育ち12賢愚■
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『子育ち第3賢愚』
【忍:不遇を認めること】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,こどもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
この第100版でも,これまでの流れに沿って,子ども自身や親が育ちの確認をしていくときに,状況を特徴付けるキーワードとなる語を選んで育ちを展望していきます。ただ構成上に変化を繰り入れます。奇数号では賢い育ち,偶数号では愚かな育ちという配置をします。育ちが望ましくない向きにずれていかないためには,避けるべきことにも目配りをしておくべきです。予め推奨すべきことと同時に注意すべきことを知っておくと,安心することができるはずです。
《忍について考える?》
堪忍袋の緒が切れた,と言いたくなることがありませんか? 浮き世のことは思い通りになりません。だからそれなりの事を弁えた対応をしていますが,成就できない場合に遭遇します。どうしてこんな目に遭わなくてはならないのか,恨めしく情けなく怒りが湧いてきます。そこで堪忍できるか,人としての器が問われます。些細なことに腹を立てたがる人が増えてきましたが,堪忍袋を持ち合わせていないようです。頭にくる前に,怒りなどの激情をとりあえず納めておける堪忍袋を使ってみると,世渡りがうまくいきます。
忍耐力という力が人の年輪を刻みます。冬の寒さを忍耐する育ちが木の年輪となる堅牢な層になります。人としての芯は苦労に耐えた時期にできあがります。苦労は買ってでもしろという教えもあるように,苦労の裏にある忍耐は,生きるための堅牢な構造を心身に組み上げてくれます。現在の温室育ちでは,子どもたちの成人化は覚束ないでしょう。国際化という厳しい環境に置かれたとき,あっさりと踏みつぶされてしまいそうです。
母は強しと言われていました。女ではなく母です。母は子どもを抱えています。守るものを抱えているから,強くなれます。父も家族を抱えて守っているから,忍耐できています。ただ,守ってやっていると高言して,それを恩に着せてしまうようでは,本当の忍耐ではありませんが。今の子どもたちは守るものを持たされていません。昔は守るべき弟妹がいました。ひたすら自分のことだけを守るように育てられています。だから,逃げることだけを覚えてしまいます。誰かのため,社会のため,という発想は皆無です。
基本的に人を信頼しているか,疑っているか,そのベースが,安心と不安の境目になります。友達がふと離れたとき,自分のことを嫌がっていると勘ぐって悩む子どもがいます。他人の気持ちは計り知れないので,推し量るしかありませんが,そのニュアンスが大事です。嫌がっているに違いないと思い込むか,嫌がっているかもしれないと保留をするか,何かの都合があったのだろうと了解するのか,いろんなパターンが可能です。どれを選ぶか,それは家族の有り様によって育てられます。裏表のない家庭であってください。
★落書き★
相対性理論で知られる物理学者アルベルト・アインシュタインは,ほぼ1世紀前の1921年にノーベル物理学賞に選出されました。彼は,同賞を自分が受賞することを見越していたようで,その賞金を慰謝料にすることを条件に,一人目の妻であるミレーバと離婚しています。アインシュタインの浮気によって夫婦としての信頼関係はすでに破綻していましたが,ミレーバも彼がノーベル賞を受賞することを信じていたようで,相対性理論の論文作を手伝ってすらいたと言われています。
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