*** 子育ち12章 ***
 

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「第 4-02 章」


『ママと呼ぶ 声を初めて 聞いた夜』


 ■はじめに

 子どもはどこで育っているのでしょうか?
 子どもが育つためには,居場所が必要です。
 親との心のつながりがあるということです。

 家族の一員であるという確かな実感です。
 自分は一人ではないという安心感です。
 前号では,ママからの温かさをお願いしました。

 ママはお子さんの育ちにつきあわされて,早く大きくなってと願います。
 でも,その前にしつけておかなければならないことがたくさんあります。
 自分が産んだ子どもだから仕方ありませんが,それにしてもパパは?

 世界は私のためにあるという生きる楽しさを失わないでください。
 災い転じて福となすという言葉があることを思い出してください。
 子育ては決して災いではないのですが・・・。



【質問4-02:あなたは,お子さんの傍にいて楽しいですか?】

 《「楽しい」という内容について,説明が必要ですね!》


 〇無力な親?

 待ちに待った赤ちゃんが産まれて,名付けの時に,こんな子に育ってほしいと願っていたはずですね。そのときには,こんな子に育てようと思ってはいなかったことでしょう。赤ちゃんが泣きます。ママはどうしたのだろうと思いやっているうちに,泣き声を聞き分けられるようになりましたね。

 初めて歩いたとき,その姿に胸の高鳴りを覚えたはずです。ことさら歩かせようとしなくても,時が来れば一人で歩けるようになるものです。歩けるようにママが育て上げたとはよもや思ってはいませんね。

 親がしてやれることは,見守って願うことのみなのです。親が思い描くほど親には力はありません。力がないことを嘆くことはありません。なぜなら,親には力は必要ではないからです。親の役割とは何の力にもなれないままで,そっと子どもの傍に寄り添っていることだからです。だからこそ,親の優しさが際だってくるのです。

 育ちへのささやかな手助けができること,その謙虚さに気がつけば,子育てとはママにとって楽しさのタネになります。子どもが大声で笑いながら走り回って遊んでいる姿を見守っているママの目は,何て幸せな光を見つけているんでしょう!

・・・育ちを楽しむことが親の役割です。・・・


 〇ママは女です?

 人形師が弟子たちについて語っています。「人形は心で作る。心で作ったものが人の心を打つ。弟子たちの作品を見ていると,初めていいなと思う人形は,必ず母親の顔に似ている」。

 男の子はママを女性の好みの原型として潜在的に刷り込まれるので,ママに似た配偶者と結ばれるそうです。ママは理想の女性なのです。ですから,お嫁さんはどこか姑に似ています。その似ているところがあるから,姑には燗に障るところが出てくるのかもしれませんね。つまり,ママは決して理想の女性などではないのです。それでも,子どもはママを理想化します。それが人形に具現化されるのでしょう。

 もちろん,子どもが育つうちにママのせいではないのですが,化けの皮がはがれていきます(失礼!読者は違います)。そこで理想の女性を捜してママの傍を離れていきますが,連れてくるのは結局ママに似た娘さんです。一方,女の子は長じてママの生き写しに育つと言われてきました。子どもたちに将来幸せな結婚をしてほしいのであれば,ママは素敵な女性でなければなりません。

・・・素敵な女性に装うことがママの楽しい役割です。・・・


 〇ママの楽しみは?

 「手がかからなくなった!」と思ったときに,子育てのつまずきが始まります。暇になって,少子化の中で余計に構い過ぎたりする袋小路に迷い込むこともあります。あるいは,できた暇を自分の楽しみのために消費できるようになったといううれしさのあまり,子どもをつい邪魔にしてしまうこともあるでしょう。

 親子の分離ができたとき,子どもは親を観察し食べ始めます。よその親との比較をするようになります。子どもによる親の大人としての査定が行われます。

 親は大人としての身住まい正さなくてはならなくなります。親としての世話役からは解放されたかもしれませんが,役割が変わって,大人としてのありようが求められるようになったのです。「あ〜ァ,まだ〜」とお嘆きの声も聞こえそうですが,心配することもありません。

 楽しむためには子どもは足手まといですか? 子どもを炎天下の車に放り出しておいて,涼しいところで遊びに興じることが楽しみであるという心得違いは論外として,楽しさとは何かを見つけましょう。自分のための楽しみとは,煎じ詰めればおおよそ欲ぼけのランクです。

 楽しみには一緒に楽しむ仲間が必要です。子どもはよい仲間です。そして最もよい仲間とは子育て中のママです。ママたちと子どもたちの集団には,いっぱい楽しみがありますよ。ただし,ママたちが本当に楽しんでいるか,子どもたちがそっと見ていることを忘れないように・・・。

・・・仲間がいる楽しみを見つけてくださいね。・・・


 〇心凝り?

 いのちの電話で死を思い詰めた人が思い直す瞬間は,「自分の気持ちを理解してもらえた」と思える会話ができたときだそうです。顔は見えなくても,この世界に自分の気持ちを理解してくれる人が一人でもいるという思いが希望を与えられます。人は誰でもありのままの自分を理解し,認め,受け入れてもらいたい基本的欲求があります。子どもは一層その気持ちが強いものです。

 相談員ははじめは「悩みを解決してあげよう」,「自分の体験を参考に提供しよう」と力みます。しかし,話しているうちに人間の本音に触れると,このような善意はいかに傲慢かに気付かされてしまいます。ただ気持ちを理解しようとだけするとき,心の力みが消えて,相談員の気持ちが明るくなり,受け答えが優しく進みます。

 心に妙な力を掛け続けると,心も凝ります。親としての責任を意識する気持ちは分かりますが,だからといって力んでしまったら逆効果です。がんばれば力は半減します。楽になりましょう。リラックスすれば,必ずよい結果を生み出すことができます。

 そんなことは分かっています。でも毎日毎日次から次に子どもに追いまくられて,ゆっくりしたら,後始末は結局自分に降りかかってきます。言うのは簡単ですが,現実はそんなものではありません。・・・。クマさんは叱られます。思いっきり,八つ当たりしてください。それでママの溜飲が降りるなら,メールの山も引き受けましょう。

・・・何もかもいっぺんに背負わず,一つずつこなしましょう。・・・


 〇パパの存在価値?

 もうすぐスイカの季節です。今では旬がなくなりましたが,やはりスイカは夏のものです。ところで,スイカは果物でしょうか? スイカは野菜です。果物とは木になるものだからです。さて,スイカの種はなぜ実の中で発芽しないのでしょうか?

 果汁と水中で発芽させる実験をした人がいて,水中でのみ発芽したそうです。そのわけは果汁の中に発芽抑制物質があるからで,腐れるとその物質はなくなるので発芽します。ほかに,タネにこの物質がついているものもあり,洗わないと発芽しません。この水洗い人がパパの役目です。

 ママはいつまでも世話をしてやりたいという親心を持つ傾向があります。それが高じると,子どもの育ちを抑制するかもしれません。子どもは幼いうちはなんだかんだといっても可愛いものですが,育つにつれて小憎らしくなっていきます。ママは意識してはいませんが,幼いままでいてほしいと育ちにブレーキをかける抑制剤を醸し出しているかもしれませんね。あまり長く抱え込んでいると,難産が待っているので気をつけましょう。パパの出番です。

・・・成長促進物質は本来パパから発散されるものなのですが・・・


 〇怪獣ママゴン?

 かつては,ママのイメージといえば,気持ちを理解してくれる優しい人というのが普通だったのですが,最近では,しつけ担当としてがんばっているママは,子どもには指導者としてありがたい存在(?)に変貌し始めています。はっきり言えばママではなくて,しつけ請負人という仕事人になろうとしているようです。

 2歳の女の子が,「ごめんなさい」と泣きながら指しゃぶりをして眠りにつくことが続きました。ママはその声を聞いているときは反省しますが,一晩眠るとすっきりとして懲りません。一週間ほど続くとさすがのママも深く反省し,たかが2歳の女の子,何を焦るの?と自問するように考えてみました。

 ママは気が軽くなって,いつもの眉間の皺が消えていきました。その夜からです,「ママ,笑っている,久しぶりね」と,眠ったまま何度も笑い声をあげるようになり,目覚めると抱っこをせがんできます。慕われてこそママの本領発揮です。

 子育ての焦りを消せば,お子さんもさることながら,ママの方も楽しい気持ちを取り戻せることでしょう。親子とは楽しいものであるはずです。そうでなければ人類はとっくに滅亡しています。子育てが楽しくないのではなくて,楽しく子育てをしていないのでは? 子どもの寝顔に答があります。

・・・子どもの寝顔はママの心の鏡です。・・・



《楽しいとは,自分自身を解放してあげたときの喜びです。》

 ○ママの楽しみとは,ひとことで言えば,この子を産んでよかったという思いでしょう。それは,決して自分の思い通りになる子どもからは得られません。苦労させられることを苦労と感じなくなるとき,大きな楽しみがもたらされるものです。ママのママはそう思っているはずですよ。

 【質問4-02:あなたは,お子さんの傍にいて楽しいですか?】

   ●答は?・・・自信を持って,「イエス」ですよね!?

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