*** 子育ち12章 ***
 

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「第 50-09 章」


『子育ちは 見聞きし触り やってみる』


■子育ち12心能■

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『子育ち第9心能』

【期待心能】

《まえがき》
 ハーバード大学のハワード・ガードナーが多重知能という概念を提唱しています。脳の研究によって,ある部分は視覚に,ある部分は聴覚に,ある部分は情動に関係しているというように脳の機能が分かってきたことを受けて提唱されました。提唱された多重知能とは,言語的知能,論理数学的知能,音楽的知能,身体運動的知能,空間的知能,博物的知能,対人的知能,内省的知能の8つです。
 これらは学校教育の中で教科として成り立っていて,国語,数学,音楽,体育,図工,理科に対応しています。ところで,最後の方の対人的知能と内省的知能というのは教科として存在しません。この2つ,すなわち,人と人との間の関わりに関する知能と,自分自身の中を見つめる知能が,サロベイ,メイヤー,ゴールマンが提唱している情動知能(Emotional Intelligence)に当たります。
 この版では,情動知能に基づく研究の結果を参考にさせていただき,羅針盤らしくまとめてお届けします。子育て羅針盤12章では,奇数章で自分自身に関する「私の育ち」(→内省的知能),偶数章で人との関わりである「私たちの育ち」(→対人的知能)を考えていますので,構成が偶然にも一致しているということが幸いしています。
 心能という言葉は,この版のために創り出した造語です。情動知能が心の知能とも呼ばれているというところから,心能と略して使っています。造語ですので,世間では通用しないことをご留意ください。

《楽天的信条》
 日本が発展しているときにはモノ作りの力が勢いを持っていました。モノ作りとは,発展する新しい機能を支える工作技術力です。やったことがないからできませんというのではなく,なんとかなるだろうという信条に従うから,挑戦する勇気が出てきて,成功が手に入ります。子どもの育ちは常に初挑戦ですから,なんとかなると思っていなければ,育ちに向かうことができません。人ができるなら自分にもできるはず,それが学習であり,誰もやっていないから自分がしてみせる,それが生きることです。

○お子さんは,何かを始めるときには,うまくいくだろうと思っていますか?

 子どもは何にでも手を出していきます。何にも考えていないと,大人は思います。考えるというのは,もう一人の子どもが理屈立てをすることです。ところで,子どもは理屈を持ち出そうにも,経験が少なく準備不足ですから,考えようがありません。考える力が付きすぎると,考えられないということが不安に転化して,臆病風に吹かれることになります。分からないから不安になるのです。子どもは経験して育つので,先のことは分からないままに,とりあえず始めてみるという歩みをした方がよいのです。

○お子さんは,失敗することを考えるより,先ずやってみようと思っていますか?

 考える力は,できない理由を見つけるために使うものではありません。どうすればできるか,なんとかなる方法はないか,やってみることのために使うものです。考えることが苦手な子どもというのは,できない理由を考える癖が付いています。そこで,例えば,試験問題に向かうとき,分からないという自縄自縛に入り込んで,考えようとしません。物事はやっているうちに,次第に答が見つかってくるものです。全部を考えるのではなく,分からない部分を残しながら,少しだけ考えてみようとすればいいのです。

○お子さんは,今日うまくいかないことも,明日になればうまくいきそうだと思っていますか?

 子どもはせっかちです。何かが欲しいと思ったら,今じゃなくては,と駄々をこねます。待つことを覚えなければなりません。そのためには,待てばよいことが実現するという経験を重ねることです。物事は時間と共に進展するという思い込みが,期待という育ちの推進力を生み出します。逆に,明日には悪くなると思えば,生きる活力は萎えていきます。夢に向かってという姿勢ですが,明日に期待できる物事を見つけておけば,楽しく育つことができます。今のままでは将来どうするの,と明日を脅かしては駄目です。



 情報社会の中で,人はつながっているように感じています。仕事や趣味などの仲間ともつながっているようです。無縁社会や孤立死という行く末が見え始めているとき,そこが私たちの明日であると思うと,何か考え違いをしていると思わなければなりません。実のところ,今の私たちは,つながってはいないのです。仕事仲間や趣味仲間,それは仕事や趣味という紐でしかありません。絆というのは,共に生きている,生きるということ,暮らしの中で関わり合っているということです。果たして,親子で共に生きていますか?

★落書き★

 サボテンはカタカナで書きますが,何語でしょう。英語名はカクタスであり,つながりは想像できません。サボテンは江戸時代初期にオランダ人によって持ち込まれ,茎の切り口で畳や衣服の汚れをふき取り,樹液をシャボン(石けん)として使っていたため「石鹸のようなもの」という意味で「石鹸体(さぼんてい)」と呼ばれるようになりました。そこでつい最近までは「シャボテン」という人がかなりいました。サボテンという名前は,石鹸から結びついたものだったのです。


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