*** 子育ち12章 ***
 

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「第 51-13 章」


『子育ちは いつやればいい 今でしょ!』


■子育ち12因子■

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『子育ち第13因子』

【総合因子群】

《まえがき》
 この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。2つの領域にそれぞれ6つの視点を重ねると,12の論点が生じます。
 第1の誰が育つのかという問には,鏡に映っている自分を見ているもう一人の自分が育つと考えます。しっかりしろと自分を励ましているもう一人の自分が育たなければならないのです。これまでの子育て羅針盤の形式に添って,奇数章では,もう一人の自分の育ちを考えていきますので,この版では特別に分かりやすいように「主体的」という言葉を冠します。偶数章では,人は社会生活が必至なので,自分は他者と対等な関係を持つことができるように育つと考えて,「社会的」という言葉を冠します。他の5つの視点についても,同様とします。

《総合》
 この号では,文部科学省の「子どもの徳育に関する懇談会」の資料から,「子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」の抜粋をお届けします。

子どもの成長過程においては、個人差はあるものの、多くの子どもに共通して見られる発達段階ごとの特徴がある。子どもは発達段階ごとに、視野を広げ、自己探求を深め、志を高めていくが、各発達段階における特徴を踏まえた成長をそれぞれの段階で達成することで、子どもの継続性ある望ましい発達が期待される。

(1)乳幼児期
○乳幼児期は、母親や父親など特定の大人との間に、愛着関係を形成する時期である。乳幼児は、愛情に基づく情緒的な絆による安心感や信頼感の中ではぐくまれながら、さらに複数の人とのかかわりを深め、興味・関心の対象を広げ、認知や情緒を発達させていく。また、身体の発達とともに、食事や排泄、衣服の着脱などの自立が可能になるとともに、食事や睡眠などの生活リズムが形成される時期でもある。
 さらに、幼児期には、周囲の人や物、自然などの環境とかかわり、全身で感じることにつながる体験を繰り返し有することで、徐々に、自らと違う他者の存在やその視点に気づきはじめていく。いわば、遊びなどによる体験活動を中心に、道徳性や社会性の原点を持つことになる時期である。
○これらを踏まえて、乳幼児期における子どもの発達において、重視すべき課題としては、以下があげられる。
 ・愛着の形成(人に対する基本的信頼感の獲得)
 ・基本的な生活習慣の形成
 ・道徳性や社会性の芽生えとなる遊びなどを通じた子ども同士の体験活動の充実

(2)学童期
(小学校低学年)
○小学校低学年の時期の子どもは、幼児期の特徴を残しながらも、「大人が『いけない』と言うことは、してはならない」といったように、大人の言うことを守る中で、善悪についての理解と判断ができるようになる。また、言語能力や認識力も高まり、自然等への関心が増える時期である。
○これらを踏まえて、小学校低学年の時期における子どもの発達において、重視すべき課題としては、以下があげられる。
 ・「人として、行ってはならないこと」についての知識と感性の涵養や、集団や社会のルールを守る態度など、善悪の判断や規範意識の基礎の形成
 ・自然や美しいものに感動する心などの育成(情操の涵養)
(小学校高学年)
○9歳以降の小学校高学年の時期には、幼児期を離れ、物事をある程度対象化して認識することができるようになる。対象との間に距離をおいた分析ができるようになり、知的な活動においてもより分化した追求が可能となる。自分のことも客観的にとらえられるようになるが、一方、発達の個人差も顕著になる(いわゆる「9歳の壁」)。身体も大きく成長し、自己肯定感を持ちはじめる時期であるが、反面、発達の個人差も大きく見られることから、自己に対する肯定的な意識を持てず、劣等感を持ちやすくなる時期でもある。
 また、集団の規則を理解して、集団活動に主体的に関与したり、遊びなどでは自分たちで決まりを作り、ルールを守るようになる一方、ギャングエイジとも言われるこの時期は、閉鎖的な子どもの仲間集団が発生し、付和雷同的な行動が見られる。
○これらを踏まえて、小学校高学年の時期における子どもの発達において、重視すべき課題としては、以下があげられる。
 ・抽象的な思考への適応や他者の視点に対する理解
 ・自己肯定感の育成
 ・自他の尊重の意識や他者への思いやりなどの涵養
 ・集団における役割の自覚や主体的な責任意識の育成
 ・体験活動の実施など実社会への興味・関心を持つきっかけづくり

(3)青年前期(中学校)
○中学生になるこの時期は、思春期に入り、親や友達と異なる自分独自の内面の世界があることに気づきはじめるとともに、自意識と客観的事実との違いに悩み、様々な葛藤の中で、自らの生き方を模索しはじめる時期である。また、大人との関係よりも、友人関係に自らへの強い意味を見いだす。さらに、親に対する反抗期を迎えたり、親子のコミュニケーションが不足しがちな時期でもあり、思春期特有の課題が現れる。また、仲間同士の評価を強く意識する反面、他者との交流に消極的な傾向も見られる。性意識が高まり、異性への興味関心も高まる時期でもある。
○これらを踏まえて、青年前期の子どもの発達において、重視すべき課題としては、以下があげられる。
 ・人間としての生き方を踏まえ、自己を見つめ、向上を図るなど自己の在り方に関する思考
 ・社会の一員として自立した生活を営む力の育成
 ・法やきまりの意義の理解や公徳心の自覚

(4)青年中期(高等学校)
○親の保護のもとから、社会へ参画し貢献する、自立した大人となるための最終的な移行時期である。思春期の混乱から脱しつつ、大人の社会を展望するようになり、大人の社会でどのように生きるのかという課題に対して、真剣に模索する時期である。
○これらを踏まえて、青年中期の子どもの発達において、重視すべき課題としては、以下があげられる。
 ・人間としての在り方生き方を踏まえ、自らの生き方について考え、主体的な選択と進路の決定
 ・他者の善意や支えへの感謝の気持ちとそれにこたえること
 ・社会の一員としての自覚を持った行動



 「子育て羅針盤」第51版は,今号で完結します。過日,神戸学院大学の佐々木光明先生の講演を聴く機会がありました。その中で語られたことです。

 子どもが「自分のことを好きと思うか」という数字ですが、小学校5年生の割合が63%、中学校2年生になると43%、減っていくんですね。自己肯定感が低くなっているというふうにも言われます。一方で,親のほうは、小学校5年生の親御さんは、「きっと自分の子どもは自分のことが好きだと思う」94.6%、中学校2年生になっても、88.6%。大人のほうは、「きっと子どもは自分のことを大切に思っているはずだ」と過大に思っています。
 さらに、「自分のことを決めるのに大人は意見を聞いてくれるか」で、「よく大人は聞いてくれる」と答えた子どもの中で、「自分のことが好き」という割合は、ずいぶん高くなっています。つまり、「大人は自分の話を聞いてくれる」と思っている子は自分のことを肯定的に受けとめていることが分かります。「大人が十分に聞いてくれない」と思っている子は、自分のことを肯定的に受けとめきれていない子が多いということがこの数字からわかります。

 この大人と子どものすれ違いをもう一度見直してみるために,「子育て」と「子育ち」という対照について,次号から考えてみようと思っています。
 
★落書き★

 台風が4号まで発生しています。3号は雨をもたらしましたが,大丈夫でしたか。適当に降ってくれるといいのですが,自然のさじ加減は乱暴ですので,用心が肝要です。ところで,台風は秋になるとやってくるものですが,どうしてでしょう? 台風が予定を立てているのではないでしょう。太平洋高気圧との関係です。夏と冬には,高気圧が日本列島を覆うので,台風が近寄れません。ところで,秋には高気圧の勢いが弱まり台風の通り道ができてしまうので,列島にやってくるようになります。


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