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「第 68-01 章」 |
『子育ちは 指示命令を 子に任せ』
■子育ち12改善■
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『子育ち第1改善』
【干渉から指導へ】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。
この第68版では,いわゆる「子育て」から「子育ち」への改善について,お伝えしようと思っています。子どもを育てよう,育てなければと願うあまりに,子どもの育ちに水を差したり邪魔をしていることになっていることに気付いてほしいのです。子育てでのしつけのつもりで叩いてしまうと,子育ちを壊す虐待になるといったことが起こらないようにしたいと願っています。決して子育てがいけないということではなく,子育ちとの上手な連携を保っていただきたいのです。
《干渉から指導へ?》
できない自分にいらついてしまうのも,もう一人の子どもです。自分に対してもう一人の自分が腹を立てます。ところが,ものや他人のせいにして八つ当たりすることがあります。もう一人の自分ができない自分を認めたくないからです。子どもにも幼いプライドがあるということです。腹を立ててもできないことはできません。そこで止めたと途中で放り出します。できないことから一時退却です。それでいいんです。その繰り返しで,もう一人の自分は今の自分の力を認識していきます。
飛び出すと危ないからと気をつけることができるのは,もう一人の自分が自分を守ろうとするからです。自分が飛び出してぶつかるというシーンを思い描くのはもう一人の自分です。幼い子どもは何も考えていないと見えるのは,もう一人の子どもがまだ未熟だからです。考える自分,それがもう一人の自分なのです。日常の体験やお話しの世界を覚えているもう一人の子どもが,そのシーンに自分を置き換えて考えることで何が起こるかを理解できるようになります。
何かいたずらをしたいときに,ママがいけないといっていたからと自制できるのは,もう一人の子どもがいるからです。もう一人の子どもがママの意向をくみ取っています。幼い頃は母子一体感があるので,産まれたばかりのもう一人の子どもは,ママに同化するしかありません。自分をどう扱っていいのか経験がないからです。ママがもう一人の自分の代理人なのです。しかしながら,やがてママの言う通りにならない自分を持て余すようになってきます。反抗期です。
反抗は子どもの育ちの必要課題です。素直な子ども,聞き分けのよい子どもが時として豹変するのは,抑え込まれた反抗の暴発とも考えることができます。親の言うことを聞いていればいいという状況は,もう一人の子どもを追い出して,親が支配するという占領行為です。子どもを操っている,あるいは取り憑いているという状況になります。自分のことはもう一人の自分が決めるという独立宣言,それが反抗期の基本的な意味です。できるだけ子どもに任せてみる機会なのです。
もう一人の子どもを育てるためには,もう一人の子どもに考えさせて,決めさせて,やらせてみるという余裕を持つことです。さっさと済ませたいという親の気持ちが指示命令になっていきます。親はそれを指導と思っていますが,子どもの立場ではそれは決定権を奪っている「干渉」になります。「指導」とは教え導くことですが,それを受け入れるかどうかはもう一人の子どもが決めることです。成長に合わせて,決めさせてみるという機会を持つようにしてください。
ある機会があって,「思いやり算」というものに出会いました。2012年にACジャパンがテレビやラジオで放映したもののようです。
人を笑顔にする算数。+(たす):たすけあうと大きな力に,=(ひく):ひきうけると喜びが生まれる,×(かける):声をかけるとひとつになれる,÷(わる):わけあう(いたわる)と笑顔は返ってくる。記号とのコラボで,思いやりのあれこれを描き出していて,皆さんお気に召しているようです。検索してみてください。
今号から子育て羅針盤の第68版が開始します。赤ちゃん時代の保護者では,親はあれこれ子育てに心を砕きます。赤ちゃんは0からの出発だからです。子育てのお陰でもう一人の子どもが誕生してくると,子育ちに徐々にバトンタッチをしていくことになります。突然代わるのではなく,もう一人の子どもの育ちを見守りながら,子育てと子育ちのバランスを保って,やがて独り立ちさせていくことになります。大きな気持ちで子どもとのよい間合いを保ってください。
★落書き★
七夕は機織と関係が深く,昔はたらいに水を入れ星明かりをうつして,その明かりで針に糸を通すという行事がありました。通すことができた女性は機織や裁縫がうまくなるとされました。江戸時代には,機織でつくった作品を織姫に見てもらうと腕が上がるとされ,布の端切れを短冊にして笹に結び,軒先に出しました。そのうち布ではもったいないというので紙となり,そこに願い事を書くようになったのです。星に願いを!。大人になって捨ててしまってはいませんか?
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