『子育ちは 明日を引き寄せ たゆみなく』
■子育ち12心算■
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『子育ち第13心算』
【遠いつもりで近いのが未来 近いつもりで遠いのが過去!】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から考察しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問題視です。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると12の論点が生じ,これが羅針盤の針路構成となります。
この第77版では,「子育ち」をしている子どもたちが育ちに向けているはずの心づもりに寄り添って考えてみようと思っています。育ちたいという切なる積もりを12の指標になぞらえてみることで,子どもたちの育ちの現実に寄り添うことができるはずです。それによって,子育てをしている大人の願いも子どもにきちんと重なっていくことでしょう。子どもがなんとかして向かっていこうとする心づもりを理解する新たな12の指標盤を楽しんでください。
《遠いつもりで近いのが未来!》
休みになるとクリスマスにお正月といった楽しい日日がやってきます。12月に入るとまだ遠いのに早く来ないかなと心待ちにしていましたが,いざ来てしまうとそれぞれが近くにあってあっという間に過ぎていきます。いつまでも休みが続くといいなと思って,まだ遠いと気を抜いていると,あっという間に明日から授業が始まりになります。気持ちの持ちようで明日という未来は遠くにあったり近くにあったりします。それでも未来は確かにやってくるものです。育ちは未来を受け取っていきます。
《近いつもりで遠いのが過去!》
美味しいケーキを食べたイブが過ぎれば,おせちのご馳走に向かい,三が日で片付けと,あっという間に過ぎていきます。ついこの前のことのように思いますが,二度と出会うことはありません。つい昨日のことですが決して辿り着くことのできないほど遠い過去になります。あのときあれをしておけばよかったと後悔してしまうのは,過去には戻って行けないからです。あのときしておいてよかったという備えは,今日を明日につなぐことになり,できることです。今でしょ! そういう言葉がありましたね。
子どもが「未来を目指し過去に引き込まれない」という心算を実現できるためには,親としてどのように関わっていけばいいのでしょう。子どもが育っていく日日は,遠い明日でも着実に近づいてきます。一方で,日日何となく過ごしてしまった過去は,すぐ近くに思えても取り戻せない遠くになります。今しておくと後で役に立つ物事を生活の中でたくさん体験させて,きちんと説明してやってください。昨日準備していたから今日できたという未来を確実に手に入れる方法を覚えると,自発的な育ちができるようになります。
子どもたちの能力で,読解力が落ちてきたとか,視力が低下しているとか,体力が落ちているとか,このところとても心配な状況が報告されています。ゆっくりと低下している,みんなが一様に落ちているので,自覚できていないことが心配です。健康で有能な大人に育っていけるのか,今後の大人の関わりが大事になります。便利さを当たり前と思うのではなく,正しく選んで適切に利用する知恵を身につけてほしいものです。わざと不便なことを受け入れることで,人の能力が引き出せるのです。
子育て羅針盤第77版は,今号で完結します。1000号の大台をやっと越えてくれました。配信開始から毎週月曜日を繰り返して20年目に入っています。もうそろそろいいかなとも思っていますが,ルーティーンになってしまって,もうしばらくは続けていくようです。ところで,次号からは,この第77版の形をそのまま繰り返して書いていこうと思っています。複数の説明を重ねることで,内容に膨らみが出てくることを狙います。
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〜読者の皆様が素晴らしい新年を迎えられますようお祈りいたします〜
★落書き★
自分という言葉は中国にはなく,日本で生まれた言葉です。「分」とは,その人が持っている身分や能力,技量のことです。そこから,「自分」は自らの「分」に応じた能力や技量を意味していましたが,やがて自らを指す一人称代名詞の意味が強くなったということです。自らを分けるではなく,自らを分かるでもなく,自らの分別を備えた者と認識するようになってきたようです。普段使いの言葉を改めて字面を眺めると,よく分からないことがあります。連想の転換が繰り返されているからです。おもしろく見ていきましょう。
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