*** 子育ち12章 ***
 

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「第 84-06 章」


『子育ちは 思いを語り 分かり合い』


■子育て12確認式■

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『子育て第6確認式』

【表現性=対話+思考!】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第84版では,子どもたちの育ちがどのようにあればいいのか,確認をするポイントを総括します。育ちには多様な属性が結びついて一体化する設計図とも言える様式があります。順序が違ったり,逆につながったりすると,本来の属性が機能せずに,育ちに不都合が織り込まれてしまうこともあります。
 人として心豊かに育ってほしいという親の願いが,子どもの育ちに寄り添った支援になるためには,日々の子育てを確認することが必至です。子育ての全体を見渡したポイントになる12の指標毎に属性のつながりを確認してみましょう。

《解説》
 社会性の基本能力は,話す・聞くというコミュニケーション力です。別の言い方をすれば,お互いに分かり合うための能力です。外国語ということではなく言葉が通じ合えない人と社会生活をすることは無理です。分かり合うためには言葉を交わす必要がありますが,それだけでは十分ではありません。言葉を含めた表現全体を通して行われる意志や感情の交流が大事です。表現の意味を読み取る観察力を伴った思考力がなければ,誤解や錯覚などが紛れ込んでしまいます。対話の品質は,お互いの知性に依存します。

《事例:思いやり》
 人間関係の基本である思いやりは,自分の身に置き換えるという想像力から発します。人ごとだとしか思えないとき,情けの言葉も心がこもらない上辺のものになります。弱い者同士という共通認識が,社会で生きるという選択を可能にします。誰の世話にもなっていない,誰の世話にもならない,その覚悟は周りの人との関係を縮小する向きに傾きます。と同時に,人の世話をするなんてまっぴらという閉じこもりになります。情けは人のためならず。世話をしたりされたり,その経験から思いやりの大事さが感じ取られます。

《事例:同一権》
 あいさつの言葉は,人と人が同じであることを確認する形になっています。「寒くなりましたね」「良い天気ですね」,あなたも同じ思いでしょうと迫るのがあいさつです。ところで,同じ思いを共有する仲間の結束を維持するために,他者を排除することがあります。彼奴は違うという意図の言葉で,異端をねつ造します。シカトや陰口などによるいじめです。仲間でない人には,大きな枠を考えて同じであることを了解しなければなりません。クラスは違っても同じ4年生といった拡張志向です。

《事例:場面性》
 対話における言葉の意味は,お互いがその言葉によって想起する場面を共通にしていないと通じません。動物園に行った帰りに2歳の娘に「何が良かった?」と聞くと,少し考えて「ひよこちゃん!」。ひよこなんて見なかったはずなのに…。でも少しして思い出しました。お土産売り場にひよこのバッグがあり、娘が何気なく手に取っていたことを。ママは動物園,娘はお土産売り場,ヒヨコの言葉がつなぐ場面が違っています。ママが娘の立場になって場面の修正をしたから,意味が通じました。(いろいろ見たのに)。

《事例:約束》
 言葉には,永い時の流れによる約束事があります。4歳の息子に「ひとつ、ふたつ、みっつ…」と10までの数え方を教えていた際、「じゃあ言ってごらん」と言うと、「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、ごっつ、ろっつ、ななつ、はっつ、きゅうつ、とお!」。気持ちは分かるが、難関が多すぎていまだにちゃんと言えない…。ゆっくり教えるしかありませんね。言葉だけではなく,語り口にも作法という約束があります。普段の話し方と改まった話し方,丁寧な話し方などです。社会では相手を見て言葉を選ぶことも必要になります。

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※自分の話す言葉が,相手にはどのように受け止められるか,チェックの癖をつけておかないと,人間関係に齟齬を来します。そんなつもりで言ったのではないのに,という後味の悪さは,わずかな気配りによって軽減することができます。それでもつい口走ってしまうことがあります。もう一人の自分がすぐに気がつかなければなりません。素直に謝ることが大事です。過ちは早いうちに改めれば,痛みは軽くて済みます。謝る勇気も小さくて済みます。気付かずに放置すれば,口走った過ちはじわじわと広がっていくものです。



 人は無限の可能性を持って生まれてくると言われます。しかしながら,すべての可能性を開花させることは不可能です。育ちの過程で努力という行為を選ぶことによって,可能性を限定することになります。家庭という環境がその選択を促すことになります。努力を向けない可能性は自然消滅していきます。子どもの間はあれやこれやに手を染めます。今の自分に合う可能性を手探りしていると思って任せておきましょう。親が努力する可能性を無理矢理押しつけるのではなく,努力の大切さだけを指導しておけば良いでしょう。

★落書き★

 ステーキやハンバーグなどの肉料理を注文すると,パセリやクレソンが添えられてきます。なぜでしょう。パセリやクレソンに含まれる緑色の色素であるクロロフィルが,口直しや口臭予防の役割を果たすからです。これらの香りの強い野菜を口に含むと,肉料理でこってりした口の中がさっぱりして,後味がよくなります。ただの彩りのためならほうれん草やレタスでも事足りますが,香りのあるパセリやクレソンを添えるにはそれなりの意味があるのです。


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