*** 子育ち12章 ***
 

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「第 85-05 章」


『子育ちは 自他がつながる 言葉得て』


■子育ち12親心■

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『子育ち第5親心』

【招きに耳を傾ける親心!】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第85版では,子どもたちの育ちに寄り添う親がどのような心であればいいのか,確認をするポイントを総括します。子どもの育ちは周りからの多様な支援と結びついて一体化する設計図とも言える様式があります。順序が違ったり,逆につながったりすると,本来の属性が機能せずに,育ちに不都合が織り込まれてしまうこともあります。
 人間として心豊かに育ってほしいという親の願いが,子どもの育ちに寄り添った支援になるためには,日々の子育てを確認することが必至です。子育ての全体を見渡したポイントになる12の指標毎に親からの支援のつながりを確認してみましょう。

○絵本や紙芝居が大好きな3歳のお嬢さんがいます。ある朝,お母さんの後について,お庭に出たときのことです。チューリップを見つけると「お母さん,この中にユビムスメいるかな?」と話しかけました。お母さんは「ユビムスメ?」,何のことをいっているのか理解できずに,返事ができませんでした。「おやゆび姫を読んだから」と気づくのに時間がかかってしまって泣かれてしまいました。まさか,おやゆび姫がユビムスメに翻訳されているとは想定外ですが,そんなことは子どもにとってはお手の物です。

 子どもが話す言葉は,子どもの今現在の思い・考えの表出です。分かって貰うためには,前後の状況を説明する必要があるのですが,そういう対話の作法を獲得するのはもっと後のことです。聞く方には唐突に出てくる言葉の文脈を読み解く推察力が求められます。子どもの生活状況を知っていなければ,どうにもならないはずです。男親は子どもとのふれあいが途切れ途切れなので,ついていけなくなります。幼い子どもは,自分の思いや考えていることが他人とは違っているということを弁えていないので,要注意です。

 「お母さん,お兄ちゃんが落書きしてるよ」,妹がご注進です。「そう,今手が離せないから,後で叱っておきましょうね」。「・・・」。お母さんは妹の言いたいことを聴き取っていません。お兄ちゃんを叱って欲しくて,言ってきたのではありません。「そう。でも,あなたはしなかったのね。いい子ね」,そう言ってやれば,妹はにっこりするはずです。「自分も落書きをしたかったけど,我慢してしなかった」と言いたかったのです。たとえそうではなくても,ほめる方向に受け止めてやる方がうれしい受け答えになります。

 幼いときにテレビを見る時間が長かった子どもは,言葉の問題が出てくるそうです。言葉が氾濫するということもあるかもしれませんが,もっとも危惧されることは,応答がないということです。テレビを見ていて語りかけても,テレビはこちらの言うことは無視します。受け付けません。大人にとっては当たり前ですが,子どもは話しかけても無視されるので,話しかけることを止めて,閉じこもるという方向に傾いていきます。自分の言葉が受け止めてもらえるという確信がなければ,心を開く姿勢が育ちません。よく聞いてやることです。

 子どもも思い通りにならない不満や,訳の分からない不安を抱え込みます。発散しなければストレスになります。その発散の依り代が言葉です。もやもやした気分を言葉で表現できると,整理ができて,外に放出することができます。悲しければ泣き,怒りがあれば怒鳴り,歓びがあれば歓声を上げて,感情表現をするから鎮めることができることと同じです。子どもが相談や打ち明け話をしてきたとき,大人はすぐに回答や対処を示そうとします。それでは封じ込むだけで発散ができません。気持ちを聞き尽くすことを心掛けて下さい。

 子どもが「お腹が空いた」と言っています。その言葉に,例えば,「夕飯まで待ちなさい」とか受け答えをしますか? お腹が空いたというのは独り言であって,誰かに向けて言っている言葉ではありません。「お腹が空いたから,何か食べるものをちょうだい」と言われたら,それは話しかけている言葉になります。子どもたちの単語表現にはつきあわずに,言葉がきちんと向けられるまで,待つようにしましょう。「おやつ!」,「どうかしたの?」,「おやつが欲しい!」,「そう,おやつが欲しいんだ」,「・・・」。

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※招かれたら耳を傾け,よく聞いてあげなさい。
 子どもが直接言葉で表現していない要求も含めてくみ取るように。



 子育てでは環境というものを大切に考えます。胎児が胎盤を通じて育てられるように,子どもは環境を通じて育てられています。胎盤が血液の交流を通して栄養を受け渡しているように,環境は言葉の交換を通して知恵を子どもに注ぎ込んでくれます。この子育て羅針盤では,もう一人の子どもが育つ母乳,それが言葉であると考えています。環境との交流を言語化することによって,経験が知識に翻訳されて記憶され応用されるようになります。読み書き話すという言語能力が人育ちを支えています。

★落書き★

 赤ちゃんは,意味もなくよだれを垂れ流しているわけではありません。赤ん坊の内臓は未発達のため,食べ物をうまく消化することができないので,ミルクや離乳食を与えていますが,それでも十分に消化できません。そこで,多量のよだれをだすことで,消化を促進しているのです。さらに,赤ちゃんは唾液を飲み込むことができないために,食べ物と一緒に消化器官に送り込まれる分以外のよだれは、口の外にこぼれてしまっているのです。


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