住吉庵雑記(其の三)
さくらを見ながら
大変ご無沙汰です。Ichiroです。当庵の回りは桜が満開です。
お蔭様で、拙著『谷汲線 その歴史とレール』(岐阜新聞社)はご好評を頂き、全国の方々より大変温かいお言葉を頂戴し続けております。この場を借りまして、皆様に心より厚く御礼申し上げます!それにしても、この3年余りはあっという間でした。谷汲線の全線レール調査で約半年、谷汲線の歴史とレール調査に2年近くを費やし、地元の岐阜はもちろん、東京、名古屋、福岡、そして大連…とにかく時間のある限り、資料や証言を求めて駆け回った日々を懐かしく思い出しているところです。図書館、史料館で文献を調べ、裏をとるために現地でお話を伺うことの繰り返しだったように思います。一つのきっかけから、どんどん深みに入っていくという「研究」の醍醐味をここまで感じることはありませんでした。また、改めて現場、現実、現物による調査の大切さを身にしみた経験でもあったように思います。取材でお世話になった谷汲線沿線の多くの方々や名古屋鉄道の関係者の方々に改めて御礼申し上げます。
しかし、一方でこの3年余りにホームページのメンテをまったく行っていなかったため、Ichiroの名は、大リーグのイチローと違ってすっかり忘れ去られてしまったようです^^; 今後は時間を見つけてこのコラムを続けていきたいと思いますので、どうぞこりずに宜しくお願い申し上げます。今年の桜は、一気に爆発したような咲きぶりです。山桜もソメイヨシノも一斉に咲き誇り、去年10月の台風で狂い咲きした木もしっかり咲いています。近づいてみると、今年の花はまるで雪か綿をつけたように福々としており、これまでにないボリューム感があります。私も、昨日今日と久しぶりの花見を楽しんで来ました。
これからは、当庵の近くでも八重桜、つつじと花が続き、新緑もまぶしい絶好の季節となります。今年は、ゆったりとした気分で花を愛で、次の構想をねってみようかと考えています。しかし、鉄道では2月末で特急「さくら」が廃止されたり、岐阜市内線や揖斐線など、岐阜市近辺の名古屋鉄道各線が3月末で廃線となったりと、風雲急をつげております。時代の流れに応じて、鉄道も、そして私自身も変わっていかねばなりません。いつまでも桜に酔いしれている訳にはいかないのが現実です。
とはいえ、残すべきものは、きちんと後世に伝えることも私たちの使命であると考えています。それを見極め、どう伝承するか。拙著の仕事を通じて学んだことを生かして、これからも夢を追い続けたいと思っています。
神戸・住吉庵にて
Ichiro
2005.04.10