<夏(二)>
このしたやみ
「下闇や牛尻向け居通られず」野村喜舟
ころもがえ
「すヾかけも空もすがしき更衣」石田波郷
さつきやみ
「五月闇より石神井の流れかな」川端茅舎
さなえ
「白鷺に早苗ひとすぢづつ青し」長谷川素逝
さみだれ
「いたつきに名のつき初る五月雨」正岡子規
しげり
「たうたうと瀑の落ちこむ茂かな」士朗
したたり
「滴りの迭の音の明らかに」富安風生
しみず
「清水より濡れつヾきたる山路かな」山村村家
しょうぶ
「目のまへの暮れゆく雨の菖蒲かな」西山誠
しんじゅ
「新樹かげ朴の広葉は叩き合ふ」前田不羅
しんちゃ
「新茶汲みたやすく母を喜ばす」殿村菟絲子
すずし
「飛騨涼し北指して川流れをり」大野林火
すずみ
「袈裟法衣衣桁に戻し涼みけり」月洞易往子
せみ
「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」芭蕉
たうえ
「田植女のころびて独りかへりけり」暁台
たかむしろ
「簟玉ばしりしてこぼれ水」鈴木花蓑
たき
「滝の上に水現れて落ちにけり」後藤夜半
たけおちば
「竹の葉のちりぬるまぶた明りせり」岸田稚魚
たけのこ
「筍を掟のごとく届けもす」中村汀女
たんご
「雨がちに端午ちかづく父子かな」石田波郷
つゆ
「梅雨の沖寒し雨具に女透く」秋元不死男
てんままつり
「大阪の川の天神祭かな」青木月斗
ときわぎおちば
「山蛙常盤木落葉時しらず」臼田亜浪
なごし
「雨の糸しかと内外に茅の輪立つ」河内凡生
なす
「茄子の紺緊り野良着の中学生」飴山実
なつくさ
「夏草や兵どもがゆめの跡」芭蕉
なつこだち
「先づたのむ椎の木もあり夏木立」芭蕉
なつの
「絶えず人いこふ夏野の石一つ」正岡子規
なつのつき
「蛸壷やはかなき夢を夏の月」芭蕉
なつめく
「夏めきて人顔見ゆるゆふべかな」成美
なでしこ
「撫子や波出直してやや強く」香西照雄
にじ
「虹立つも消ゆるも音を立てずして」山口波津女
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