<夏(一)>
あおあし
「青蘆に夕波かくれゆきにけり」松藤夏山
あおあらし
「濃き墨のかわきやすさよ青嵐」橋本多佳子
あおうめ
「青梅を落しし後も屋根にゐる」相生垣瓜人
あおぎり
「青桐の三本の影かたまりぬ」野村喜舟
あおすだれ
「青簾いづれの御所の加茂詣」其角
あおた
「朝起の顔ふきさます青田かな」惟然
あおば
「あらたふと青葉若葉の日の光」芭蕉
あきちかし
「秋ちかき心の寄や四畳半」芭蕉
あさぐもり
「朝曇松葉牡丹にすぐ晴るる」三宅清三郎
あつし
「恋しさも暑さもつのれば口開けて」中村草田男
あやめ
「衣をぬぎし闇のあなたにあやめ咲く」桂信子
あゆ
「吉野川八十瀬の隅に鮎を掛く」鈴鹿野風呂
あり
「炎天を泣き濡れてゆく蟻のあり」三橋鷹女
いずみ
「いのち短かし泉のそばにいこひけり」野見山朱鳥
いばらのはな
「花うばらふたたび堰にめぐり合ふ」芝不器男
うかい
「鵜飼名を勘作と申し哀れなり」夏目漱石
うきくさ
「雨ならず萍をさざめかすもの」富安風生
うすもの
「羅をゆるやかに着て崩れざる」松本たかし
うつせみ
「岩に爪立てて空蝉泥まみれ」西東三鬼
うのはな
「卯の花や流るるものに花明り」松本たかし
うり
「瓜貰ふ太陽の熱さめざるを」山口誓子
おいうぐいす
「へつつひが赫々笑ふ夏鴬」田平龍肝女
およぎ
「泳ぎ子がをりて五六戸ありにけり」清崎敏郎

「蚊の声す忍冬の花の散るたびに」蕉村
かきつばた
「暁の咫尺の靄や杜若」高浜虚子
かじか
「ヨセミテに五十鈴の河鹿鳴くといふ」中村宋淵
かたかげ
「片蔭をもどる豆腐の水たるる」佐々木民子
かのこ
「鹿の子や立てば拍手の降るごとく」つじ加代子
かみなり
「昇降機しづかに雷の夜を昇る」西東三鬼
かわせみ
「翡翠の影こんこんと遡り」川端茅舎
かんだまつり
「書痴われに本の神田の祭かな」池上浩山人

「蟻が食ふ蛾がきらきらと円覚寺」加藤楸邨
きりのはな
「熊野路に知る人もちぬ桐の花」去来
ぎおんえ
「洛中のいづこにゐても祇園囃子」山口誓子
ぎょうずい
「行水やさし湯の澄めるさみしさに」伊藤翠壷
くいな
「聞くうちにすゑまぼろしの水鶏かな」青蘿
くさいきれ
「草いきれ人死居ると札の立」蕉村
くさかり
「草刈女さゆらぐ笠は鎌砥げり」林翔
くものみね
「雲の峰幾つ崩れて月の山」芭蕉
くんぷう
「薫風や蚕ははく糸にまみれつつ」渡辺水巴
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