159回原宿句会
平成14年9月9日


   
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  東人
撫子や木道にある避難小屋
白秋に三人の妻夕野分
新郎の父の軽さよ秋の鯖
秋霖や抜き差しならぬ喉ぼとけ
天高しやつこの膝の三里紙

  筝円
野分過ぎ草木息をととのへり
秋鯖や「直送」文字のなぐり書き
撫子の触覚にも似る雌蕊かな
秋霖の玻璃に描きしあみだくじ
爽けしや役者顔なる大向う

  美穂子
廃校に枠だけの窓秋黴雨
隧道に音の暴るる夕野分
蟷螂の一つ座を占め甲斐の茶屋
撫子や路地に夕陽の通る道
秋鯖や女にもあるのどぼとけ

  千恵子
昼灯す社務所無人や秋黴雨
焼き色の黄金香ばしく秋の鯖
野分晴鎖引きずる迷ひ犬
撫子や河原への道草に消え
風少し入れて句会や夜の秋

 白美
秋霖やくもりのとれぬ老眼鏡
卵塔に紅撫子が手向けられ
秋鯖の盛られし磁器の白さかな
紅白のさるすべり伸ぶ庄屋跡
野分去り小屋の農具の輝いて

  希覯子
新涼や透明定規を文鎮に
秋鯖を買ひて暮しは中の中
秋霖や一隅に寄るモルモット
無惨なり一坪菜園野分あと
撫子やアザラシの名はタマちゃん

  正
秋雨や笠に音聞く露天風呂
秋鯖やガード下なる定食や
撫子や銃後の女性もんぺ穿き
連山をかすめて甲斐の野分雲
驢馬鳴いて甲斐駒ヶ岳夕焼くる

  利孟
予想円の中に台風迷走す
一しづく硯に落とす秋の水
星月夜お届けピザのバイク来て
秋鯖の脂めだるきほどにかな
なでしこやそのたび塵となるお襁褓

  翠月
蜩の森から森へリレー鳴き
電線を鳴かせ野分の近づけり
秋鯖に酒一服の舌鼓
街の灯の暮るる速さや秋の雨
撫子の取り巻く縁や踊りの音

  和博
秋鯖や味噌煮塩焼一級酒
秋の雨タイル剥がれた遊歩道
野分あと常と変わらぬ湖明り
白黒の映画ブルース秋暑し
撫子や水緩やかに洗堰