160回原宿句会
平成14年10月


   
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  東人
亜麻色に三五の月のなほ高く
色鳥や遠つあふみは湖の国
磴多き旧街道や走り蕎麦
菊日和人事案件なほ揉んで
十月や湖の没日を登きより

  美穂子
講釈の間も新蕎麦を打ちにけり
十月や指遊ばせる旅の本
碑に村の哀史や秋夕暮れ
色鳥の色追ひかけて日照り雨
くねるたび水音の増え秋の峡

  正
新蕎麦の噛んで程良き固さかな
ゆるやかに一人墨磨る夜長かな
仰ぎ見る十月の空広きかな
葛かかる吊橋過ぎて水迅し
色鳥や彩鮮やかな胡姫の服


  白美
十六夜や印紙の褪せし契約書
色鳥や頬に紅差す泥人形
十月や真贋知れぬ二つの絵
街並の屋根の輝き秋の空
新蕎麦や分けて入りたる藍暖簾

  希覯子
新蕎麦や手斧削りの太柱
十月や八尾は風と坂の町
色鳥や寺の演技に誤字一つ
飾り棚にもろもろの猪口走り蕎麦
色鳥や勝手知りたる振舞で

  箏円
新蕎麦や着流し客の江戸ことば
十月の空母の言ふありがたう
色鳥を染め残したり結う茜
江戸友禅秋時雨染む志ん朝忌
鬼蔦の紋の色濃く秋時雨


  翠月
腰弱き新蕎麦頬を通りけり
十月の湧き水強く砂を蹴る
流れ星子らはそれぞれ夢を持ち
六年の思ひの籠もる月下美人
色鳥の瀬にさえずりや水早し

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平成14年10月分の記録を美穂子さんからいただきましたので
利孟欠詠ながら記録に加えました