165回原宿句会
平成15年3月5日

   
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  箏円
しなやかに背骨のうねり春の駒
春一番尼僧は裾を気にもせず
南国の人の大声鳥合はせ
閼伽桶に闇をも汲みてお水取り
雛の夜メール教へて母と娘と

  白美
ずり下がりながら威嚇の春の駒
闘鶏や血の気多きは母譲り
修二会果て服に焦げ目の穴ふたつ
長閑なり状差し磨く紙やすり
外陣に吹き出す炎お水取り
闇分かつ炎の川よ送水会

  美穂子
白魚のなほ逃れむと踊る枡
影も敵舞ふ羽も敵鳥合せ
修二会の火果つる辺りの闇深し
長閑さや目細め見る魚の影
春駒の視線捉へる飛行雲

  和博
兵士等の戦の支度涅槃西風
蹴り合ひて宙に相似の鶏合
長閑さや太き棹差す渡し舟
まづ呪師の階降りぬお水取
春駒の駈ければ追ひて朝の牧

  利孟
科人のごとき籠詰め喧嘩軍鶏
法堂に火天浄火を撒けば春
観音と堂守る一と日長閑しや
修二行や青衣女人に名はあれど
春駒の見れば口寄せ鼻しわめ

  翠月
いななきの母より高し春の駒
修二僧の踏ん張り法螺の音の浄し
川底の石の戯れ水の春
一つ散り歩み緩めの梅旅情
拍手湧く石火の動き鶏合せ

  千恵子
人垣を洩れる殺気や鶏合せ
フリージア坂より海の見える町
走りてはすぐ親見ては春の駒
雛飾り了へてこれより旅支度
達陀の行闇を打つ修二会かな

  正
闘鶏や戦雲日々に募りゆく
星出でて高き御堂やお水取
サムライといふ紅の芽立つ
春駒の眸に雲懸かる八ヶ岳
微睡のうつらうつらと長閑なる

  希覯子
長閑なり税の戻りを告げられて
若駒や人怖ぢ物怖ぢ知らざりき
闘鶏師の秘薬の一つ唐辛子
修二会に善男として参じけり
鶏合唐辛子水飲まされて
 比呂史
闘鶏の人囲ひごと奮ひ立つ
のどけしやベンチに彩のお弁当
年古りていよよ臈長け梅古木
先ほどの愚痴も忘れて修二会かな
てらてらと光を散らし春の馬