166回原宿句会
平成15年4月4日

   
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  白美
唐といふ國の匂ひや白牡丹
名も知らぬ人と対座の花見酒
都踊り目で追ひかける贔屓の妓
肩先にとまりて枝垂桜かな
眼薬を差して開けやる仔猫の目

  千恵子
夕明り被て冷えてゐる桜かな
先に炎の萌しをみせて牡丹の芽
紅の口都をどりの声揃ふ
地に置けば一声鳴きて仔猫かな
子を抱くマリアの伏目鳥雲に

  希覯子
犬が来て人の現はる朧かな
花冷えや夕刊記事は斜め読み
鰹節つけて猫の子貰はるる
芽牡丹や大輪秘むる気配なく
医学会都踊りにことよせて

  美穂子
子猫抱く少女はすでに母の貌
耳奥に巣くふものあり春の風邪
緋牡丹を篝火にして夜の苑
都をどり揃ひて開く紅の唇
潤みがちなる姫鏡台花の夜

  利孟
撫でられるばかりの箱の捨て仔猫
猫除けの効無きボトル牡丹の芽
肩上げをおろして都をどりかな
線路無き終着ホーム花の川
長き髪束ねて受ける花見酒

  翠月
糸巻きに戯れる子猫の左利き
白牡丹染めほのぼのの夕早し
都踊派手さ早さに淑やかさ
電線に鳴くや番の初燕
城壁に縋り付きたる花の冷え

  正
カレー屋に都をどりの出番表
虫出しの雷や戦始まりぬ
恋知らぬをんな子猫を愛しめる
大老の眠る古刹や富貴草
糠雨の枝垂桜の六義園

  武甲
紅を引き都踊りの人となる
緋牡丹やあづまをとこの恋女房
未熟さを無邪気で騙す子猫かな
花の雨パステルカラーに街染めて
花冷や選挙の近き商店街

  和博
花簪都踊りに揺れ揃ふ
風荒れし裁きの庭に牡丹の芽
乳浸す小指を母と捨子猫
山笑ふ眉を常磐木描きにけり
啓蟄に明るき色の靴探す

  筝円
花冷えに透き通りたる花片かな
都踊り歌舞練場の夜を灯す
おとなの歯揃はぬ笑みで子猫抱く
隙見せず生き行くつもり白牡丹
花の上寝座へと鳥の群急ぐ

 比呂史
猫の子の興味のまなこ開きけり
席取りの骨の髄まで花の冷え
しなをする都踊りの眼元かな
祝辞聞く姿勢正して春睡す
黒き土より燃え盛る牡丹の芽
燃へ盛る黒き土より牡丹の芽