第188回原宿句会
平成17年2月17日

   
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  美子
父の背に残る野焼の匂ひかな
乾鮭も駄馬も小暗き農の土間
麗人の卆寿に梅と赤ワイン
灯台を呑み一湾の流氷原
流氷来異動内示を胸に秘す

  正
活断層走る谷間の梅見頃
流氷の軋み遠くに微睡みぬ
野を焼くや少年恋の火を焦がす
亀鳴くや朱のかすれたる和上像
日本海の風の味染む乾び鮭

  白美
心做し男雛と距離の女雛かな
乾鮭や洟を啜りて修司読む
野焼して農の一年始まりぬ
紅梅の一樹の残る旧家跡
流氷や犇めき漂ふ同じ潮

武甲
流氷や歩きて海を越す話
火の箒山に走らす野焼きかな
乾鮭や下船の足の定まらず
押し黙る待合室や梅一輪
半時も遅れ帰る子春立つ日

  利孟
「東西」と黒巾口上春灯し
乾鮭の突支ひ棒で晒す肚
流氷や日がな火を継ぎ火を眺め
盆梅や小皿に盛らる浄め塩
迎へ火で畑を囲へる野焼きかな

  希覯子
舫ひ石遺る古利根堤焼く
老人ホーム
初音聞く街騒遠きホーム住み
              そが 
乾鮭の吊されしまま身を削る
日脚伸ぶ一人一つのベンチ占め
流氷を脱出の鯱大写し