第189回原宿句会
平成17年3月15日

   
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  白美
両の手をはたき種撒き終はりけり
石仏の御手に赤き椿かな
懐剣の鞘の瑠璃色光悦忌
上方舞見て来しあとの木の芽あへ
春浅し千手観細音身にて

  武甲
切り出せぬ同居の話木の芽和へ
種蒔きの畝をまたぎて靴の跡
人活かす剣の教へや光悦忌
タイマーが知らせる消火冴返る
春疾風記憶の中の造兵廠

  美子
潤滑の後の渇筆光悦忌
竹垣に菱目玉縁光悦忌
種蒔くやはらから揃ふ半農家
あたり木の音色も食す木の芽和へ
金の蕊肩口に吐く藪椿

  正
種まきを終へて岩波文庫読む
連綿の仮名を散らして光悦忌
馬子唄の流る追分木の芽和へ
贅沢の末の贅沢目刺喰ふ
美女選ぶ椿と競ふコンテスト

  利孟
咲き継ぎて紅の薄るる藪椿
折紙の大方余白光悦忌
虫食ひの痕をちぎりて木の芽和へ
大鉢にこき混ぜて蒔く残り種
小鳥屋の積まれし籠の囀れり