兼題 蓑虫 花野 唐辛子 席題 小春日 |
東 人 樽に浮く種の偏平唐辛子 鮨桶にのこる蝦の尾小六月 雨足を音ではかりて花野かな 蓑虫の蓑口づくり足づくり 利 孟 道標当てにならざる花野原 蓑虫や勝って背負わせるランドセル 皺伸ばし点ける煙草や小六月 薄き匙ネシアの酢漬唐辛子 美 子 風を聴く蓑虫蓑を揺らしつつ 唐辛子赤極まれり過疎の村 したたかな蓑虫蓑を侘しくす 振り返る花野に友のいるごとく 千 恵 子 小春日や部屋いっぱいの仕立物 雲過ぎて花野再び輝けり 蓑虫や空き家に残る女下駄 唐辛子雨音弾いてつやめけり |
健 次 色失せし景色に干さる唐辛子 木道を譲りて眺む花野かな 何処より茎集めたる蓑虫や 小春日に実習田の米児童食む 希 覯 子 異国種に和種が織りなす花野かな 蓑虫の寝袋をもて鎧ひけり 神を守り農を守りて唐辛子 小春日や歩行者天国減りしまま 内 人 山鳥の空丸く切る花野かな 水掛ける地蔵の前に唐辛子 蓑虫や昨日の位置で蓑を干す ただ一人歩む花野の空高く 玄 髪 窓飾る成都の街や唐辛子 |
京 子 陽はあふれ軒端に華やぐとうがらし 小春日や刻は動かずバッハ聴く みの虫のあやふいブランコ雨あがり 花野ゆき花の名告げしひとのこと 白 美 蓑虫の蓑並びたる子の小箱 山の端の雲いろむらに花野かな 妖精のオランダ靴か唐辛子 武 甲 蓑虫や願かけ結ぶ捨て御籤 小春日やあかり障子の影長し 還暦の健脚競ふ花野かな 紅莢の燃えて艶増す唐辛子 香 里 花野来て銀のバレッタ光りけり 蓑虫や人にゆられし風にゆれ 一粒も赤々辛し唐辛子 |