兼題 簗 月見草 立秋 席題 海月 |
東 人 乗る波の形に膨るる海月かな 石組みに逃げ場もあらず涸れ簗場 星と星ぶつかる話月見草 秋立つや鍵穴深き輸入家具 玄 髪 裾まくる素足にやさし簗の竹 立秋を過ぎて「熱パ」の首位攻防 炭鉱消えて名残惜しげや月見草 白 美 立秋やペン先をとぐ紙やすり 簗番の山崩れたる跡に座し 青水月銅鑼鳴りわたる湾の口 灯台の灯りの遠く月見草 希 覯 子 青竹の径を揃へて簗簀張る 鎌倉に海月警報出されけり 鉄路より低き家並や月見草 癌学者癌に斃れり今朝の秋 |
法 弘 秋立つと封書で返す鍵一つ 海月浮く水半球の頂きに 簗にせんとて山積みの竹と縄 径いつか絶えゐて月見草の丘 千 恵 子 鏡にも通ふ風あり今朝の秋 掬ひ上げし海月平たく掌に沈む マジックで書かれし看板簗案内 月見草沖行く船の灯の白し 武 甲 水尽きて簗の現はる川の宿 透けぬ白着るギャル逃げて海月来る 「知将」得てその名広めし月見草 秋立つや尼僧の院を風抜ける 英 樹 立秋や落ち合うてゆく笹の舟 みづうみのほとり灯の入る月見草 秋立つや岬の果てに宿を取り 簗を打ち終へてオカリナ吹きにけり |
利 孟 群れたるも知らぬげに揺れ水海月 萎えし花くれなゐ残し月見草 狂ひ鳴る目覚し時計秋立ちぬ 欄干にもたれし子らや下り簗 京 子 引き潮の浜にくらげの身をさらす 瀬も浅き少雨の川に簗かける 金網に虫の弱りて今朝の秋 蕋に来る蜂重たげに月見草 梅 艸 決すこと二つ三つあり今朝の秋 くるぶしに虹まとはせて簗打てり つくばひのボーフラ去って月見草 立秋や空き缶累と積まれをり 萩 宏 秋立つも袖たくし上げ外回り ふとももの赤い斑点海月あと 月見草きみのやうだと口説かれて 陽がのぼり光る川面に潜む魚簗 |