第７２回原宿句会
平成７年８月２１日

　 　

兼題　向日葵 晩夏 「法・弘」 席題　流星

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東 人 脛濡らす潮なまぬるき晩夏かな 一握の砂子は熱し星流る 法医学教室の戸に夜の蝉 向日葵の種子とぶ安房に風喰めば 　 　　　　　　　　　　利 孟 向日葵や首にタオルの郵便夫 蛸壷の縄の毛羽立ち晩夏光 向日葵の影透き通る真昼かな 止む声の紛れて法師蝉時雨 　 　　　　　　　　　　美 子 アザラシの南限に佇ち我が晩夏 向日葵の間道を行く霊柩車 桜町弘子観てゐる盆の入り 傷つけず傷つかぬ恋流れ星 　 　　　　　　　　　　京 子 法話聞く堂の内外蝉時雨 夏祭錠前傾ぐ勅使門 向日葵は身じろぎもせず蜜吸はせ

千 恵 子 ヒルティ読む眠られぬ夜や流れ星 刃を研げば鋼の匂ひ晩夏光 適齢期なき世の幸や天蓋花 三伏の寺に法衣の干されをり 　 　　　　　　　　　　法 弘 戦車隠そう白夜のヒマワリ畑には 秋没日つれなしアイヌ土人法 流れ星母の願ひを誰も知らず 行きゆきてなほ牧水の晩夏かな 　 　　　　　　　　　　千 里 薄れゆく憲法九条夏深し 向日葵やへそ出しギャルの大笑い 向日葵や赤いポルシェが去ってゆく また一つひみつの増えて晩夏かな 　 　　　　　　　　　　希 覯 子 向日葵や林道飯場襁褓を干す 流星や塔尖紅き灯を点す 緋鯉群る心字象る法の池 水子佛千体並ぶ晩夏光

白 美 流れ星消えて願ひの間に合はず しぼり出す白の絵の具に晩夏光 夏萩やここが弘徽殿在りし跡 ひまはりの迷路行き抜き空広し 　 　　　　　　　　　　千 尋 向日葵や旧き番地で来し手紙 操車場の轍のにほふ晩夏かな 薬局の角の向日葵咲きにけり 　 　　　　　　　　　　健 次 露天湯の連れとなりたり仏法僧 校庭に児童と向日葵整列す 晩夏光スカイラインにくるま減り 　 　　　　　　　　　　萩 宏 法師蝉寺の甍を包みけり 向日葵を画用紙一杯描く子等 カレンダー捲り踏ん切る晩夏かな 握る手を放し指差す流れ星 　 　　　　　　　　　　義 紀 一心に祇園太鼓や無法松 向日葵や毬栗頭少なくて