第224・5回合併四天句会
平成20年3月25日

   
兼題 紅梅 三寒四温 立春
点盛り表は、リンクをどこかに埋め込んであります
ご興味のおありの方はお探しください



  千恵子
名残雪喪服の真珠くもりがち
迷ひ込む資材置場や春の泥
立春の亀はすつかり石と化す
ラブレター突き返されて卒業す
紅梅や頬に喰ひ込む弓の弦
四温かな腰に二枚の貼り薬
乳母車押すかに柩春の雪
一雫抱木の芽の膨める
冥界の白美思へば梅光る
入り彼岸白美初めて夢に来て

  正
競走馬追ひて逝きけり雪女
春分や時計の針を正うす
水温む故郷へ杜氏帰るころ
濁手の壺に紅梅一枝かな
甲斐駒に雲の遊ぶ日春田打つ
吊し雛飾る店先海光る
をちこちの花の便りや西行忌
立春やマネキン変るウィンドー
三寒のあとの四温をいとほしむ
万葉の風佐保姫の裳裾撫で

  利孟
しつかりと衿に糊かけ四温の日
春分や紐でからげて売る軍手
春野菜ですと粗塩天ぷら屋
白百合といふ銘の茶碗名残雪
のど飴の味の選り取り春の風
釜の湯のほのかな甘さ春惜しむ
立春の笑顔ばかりとなる記憶
払子もてあそび説教つくづくし

  美子
立春の静寂目釘を外す音
逆縁の指節榑て名残雪
友逝きて四温日和の所在無し
春分やぶらりと入る刀剣屋
夭折の朱き半襟別れ雪
オリオンの棺に羽根のキャプリーヌ
       キャプリーヌは鍔広の帽子
藩校の庭に紅梅なかりけり

  恵一
突堤にスケッチブック春立ちぬ
海酸漿吹いては君を憶ふかな
春分の日の空軽し上京す
夜の雨しきり四温となりにけり
春の灯の消えてはるけき山路かな
紅梅の香の迷ひをり大鳥居

  義春
ドンペリニョン開け春の夜の更けにけり
紅梅や学びし業は充ち満ちて
春分や芝に並べてお弁当
北の街欅を揺らす四温かな
立春や濡れ羽光りの熊本城
春の陽やホロロマーノの石の門
それぞれの仕事まとめる二月かな

  比呂四
田の土のほぐれて三寒四温かな
春昼の瞬時に襲ふ睡魔かな
紅梅や老女の紅の淡き赤
長閑やアロマ垂らせる湯に浸かる
ペガサスのごと駆け抜けて春近し
立春や一言多き飲んだくれ
春分の日を知らしめる坐骨かな