第241回四天句会
平成21年9月17日

   
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兼題 秋彼岸 新米 霧
席題 貝割菜


  利孟
霧籠めの小屋手渡しにウィスキー
新米を握る手塩をざらつかせ
秋彼岸布施米を受く麻袋
切り取らるための根絡み貝割菜
倒伏の稲かかへては抱き起こし

  美子
朝霧の裾を捲りて猫の貌
丁寧に丁寧に鳴く秋の蝉
ねつとりと杓文字を零れ今年米
貝割菜二日続きの宿の汁
駆け出して墓地に迷ふ子秋彼岸

  恵一
飛行機雲ひろがりやまず稲の秋
秋彼岸をんなと歩む女坂
工場のベルトに育ち貝割菜
喧嘩一喝母新米を研ぎはじむ
山霧の薄れゆく谷花オクラ

  義春
我先に陽を求め合ひ貝割菜
新米の湯気匂ひ立つかな厨かな
多くの師すでに逝きたり秋彼岸
街騒を遠くに聞きて虹の橋
朝霧の北上川の流れ満つ

  比呂四
スポンジの畑を切り分け貝割菜
残暑なお陽の傾きて吐く吐息
日保ち見て選ぶお供物秋彼岸
頂上を指呼にし霧の上走る
トランクに積みし新米渋滞路

  武甲
新しく墓誌に一行秋彼岸
霧を分け巨大客船入港す
新米の粒ことごとく輝けり
化粧して時待つ棚田白露かな