第255回四天句会
平成22年11月17日

   
兼題 時雨 枯れ野 鮟鱇
席題 綿虫      

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  美子
初時雨塔を貫く心柱
通はまづ皮とうそぶき鮟鱇鍋
枯野原石仏石に戻りかけ
雪ばんば仏足石に行き着けり
短日の翳りゆく背の皆親し

  阿やの
天に向くままに枯れ果て竜舌蘭
走り去る児らの背中の雪ばんば
迷路めく路地突き当たり鮟鱇鍋
夕しぐれ名曲喫茶に薄明り
風の来て音のはなやぐ枯野かな

  恵一
襟巻を巻きマネキンの仕上がりぬ
白砂に時雨の鳴りて龍安寺
ゆふぐれて枯野に埃匂ひけり
綿虫やホームの父に送られて
不機嫌な上司とつつき鮟鱇鍋

  利孟
鮟鱇の孤独寄り来るもの喰らひ
時雨るや空弁当に箸鳴りて
雪ばんば瓦斯灯ほつと点り初む
神送る風に掲げて旭日旗
枯野に地平空に送電線

  武甲
江戸前の出汁の切れよき鮟鱇鍋
対向車なきハイウエイ枯野へと
宇治橋の香り微かに初時雨
小春日や公園裏に秘密基地
綿虫や出社を急かす短メール

  義春
雲ひとつ彼方に流る枯野かな
停留所まで送る友夕時雨
椋鳥の木々に鳴きたて街昏れる
浪の音鮟鱇吊られきざまれて
綿虫の日向好みの女郎かな

  雨龍
窓ガラス静かに時雨滴らせ
夢おぼろ芭蕉になりて枯野の句
鮟鱇の看板欠けて老舗かな
冬うらら銀座に人も音絶えず