第264回四天句会
平成23年8月2日(火)

   
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兼題 法師蝉 残暑 走馬燈



  恵一
火の入りて影が影追ふ走馬燈
逃げ回る槽の鰻の首無手と
陶枕に一時の夢残暑なほ
新涼やざら紙作りの母子手帳
点滴に倦みしベッドや法師蝉

  利孟
飯汁と菜を二品法師蝉
炎の揺れてしばし足踏み走馬燈
相客は梅我は松鰻飯
その裏の風の動かぬ残暑かな
かき氷コインで夢を買へた店

  義春
法師蝉一声残し落ちにけり
昼過ぎの音なき駅舎残暑かな
鴨川や風の抜け来る夏料理
天然の証しと腹の黄のうなぎ
静けさや仏間に小さき走馬燈

  雨竜
初物の鰻重ねに満つ匂ひ
二人乗り観光リフト雲の峰
縦皴のゆるむことなき残暑かな
あけて閉め開けて聞こえし法師蝉
走馬灯車窓に肘をついてをり

  比呂四
法師蝉一と節をしぼり出して止む
店先の桶に水かけ売る鰻
凌霄やサウナ上がりの肌すべと
手庇で陰を作りし残暑かな
羽根かまひ速さあれこれ走馬燈

  武甲
鰻めし予約の効かぬ老舗なり
街残暑目深に被るキャスケット
終戦忌数多被弾のカノン砲
訥々と輪廻の法話走馬燈
法師蝉鳴き止みて知る登校日

  あやの
膝寄せて童子の見入る走馬燈
蝉時雨対向車なき山の道
出し抜けに鰻食べたき夕ごころ
記念館に遺る親書やつくつくし
包まれて壊さる校舎秋暑し