第265回四天句会
平成23年9月6日(火)

   
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兼題 新涼 稲妻 桔梗



  恵一
新涼や町屋の引き戸からころと
稲妻や檻の獣の吼えはじむ
夜の秋ベリーダンスの地下の店
青竹に挿したる桔梗虫籠窓
陸橋の葛駅員の引き落とす

  あやの
昼の虫ふいに人無き画材店
稲妻や生徒張り付くガラス窓
リュック捨て置き桔梗の風まとふ
野の花の束を抱へて涼新た
葛の里道なきみちを踏み分けて

  利孟
新涼や染み百年の煉瓦壁
全山の揺るるや蔓を引いて葛
石飛んで渉る渓川花桔梗
地と闇のやりとりしきり稲光
延々と空荷の貨車や野分来る

  比呂志
稲光緑青浮かぶ避雷針
野の花の束に紛れて吾亦紅
鼻筋の通る貴婦人花桔梗
新涼や湯船に脚を伸ばしゐて


  武甲
がれの道一気に下り葛の花
稲妻の斬り裂く闇に割れて音
撫子や被災地に起つフラガール
新涼や新作入荷の大見出し
花桔梗風に親しむことなくて

  義春
みちのくの昭和の官舎秋刀魚焼く
尾根目指す歩の小刻みに葛の花
朝練の丘や桔梗の群れ咲いて
新涼や朝の渚に魚の影
稲妻に年寄家に駆け入りて

  雨竜
躊躇ひもなく広がりて葛の蔓
鉈で打つかに稲妻の尾根削る
新涼の風吹く朝の葉陰かな
風鈴の軒の庇の影の音
花桔梗折り紙で折る帆掛け舟