第276回四天句会
平成24年8月21日(火)

   
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兼題 枝豆 芙蓉 夏痩せ



  利孟
生ぬるき水に砥石の揺れ晩夏
枝豆を食うて減らざる殻の嵩
花芙蓉喧嘩の兄が叱られて
百日紅揺れて日差しを押し戻す
夏痩せてベルトの穴のつづまらず

  武甲
砂付きしままのサンダル夏の果て
ゼロ災害誓ふ慰霊碑白芙蓉
夏痩せの鏡の中の小顔かな
泡の髭生やし枝豆つまみけり
快投に沸く球場や夏の果て

  あやの
ループタイ揺れ夏痩せの教師かな
運動場閉まりカンナの長き影
枝豆を笊一杯に休肝日
立ち止まる写真のデジャヴ晩夏光
芙蓉咲くハイカラなりし独身寮

  雨竜
本堂に灯る法燈酔芙蓉
栃の木を吸ひて育ちし油蝉
水道の水一滴の落ち晩夏
夏痩せや太鼓遠くに鳴り続け
枝豆の笊でて話間遠なり

  義春
花芙蓉娘と孫の里帰り
枝豆や泳ぎし海の塩辛さ
坪庭の土黒々と晩夏光
夏痩せてベルトの穴はなかりけり
凍雲の原生林や烟立つ

  比呂志
風揺らぐままにゆらぎて酔芙蓉
夏痩せの顔のいよいよ父に似て
枝豆を口へと飛ばす指加減
軽やかに響く水音晩夏かな
通勤の扇子の絵柄半開き

  恵一
晩夏光雨痕残る屋根瓦
夏痩せて煙草の増えし老刑事
登山口ヘッドランプの灯の続く
女子サッカーシュートはづれて芙蓉中
枝豆に塩ふる指のほつそりと