第357回四天句会
令和元年5月9日
   
兼題 新樹 母の日 薔薇
席題 雉子
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ご興味のおありの方はお探しください


  利孟
半世紀ミチコの銘もて朱き薔薇
萱屋根の破風に水の字新樹光
珠を解く朝薫れる牡丹かな
白昼の路身をすくめ過ぎり雉子
母の日の吾より若き日の遺影

  武甲
校名のリュックと帽と山開き
幌大き双子のバギー新樹光
在城を告げる王旗や薔薇の門
袋ごともいで袋の枇杷熟るる
母の日の厨男の流離かな

  あやの
シニョンの子の外股に風薫る
花を喰ふ幼虫成虫薔薇の闇
若冲に塗られ師貌で雉子啼けり
薄紙の花作りては新樹の夜
母の日や母の鼻歌いづくより

  恵一
雉子鳴くや少年院の裏山に
母の日の鍋一杯にカレー煮て
新樹ゆれ窓にうまれる光の斑
茉莉花の蕾つんつん競ひ伸ぶ
薔薇の門喪服の女歩み出て

  比呂志
立てられた名札新種の薔薇の花
庭先の枝葉に隠れ小鳥の巣
行幸通り抜けて新樹光眩
母の日の話の尽きぬ旅枕
雉子鳴くや阿蘇草原にキジカクシ

  虚承
20歩の必死の助走を雉子翔てり
母の日のばあばで母で妻である
子の背に団扇の風を送り妻
新樹光大姉も居士も安らかで
告白に薔薇一輪の助け舟

  義春
独り住む門を黄色の薔薇が埋め
雉子鳴くや年寄り一人野良仕事
若人の平和の議論楠新樹
おかつぱの子の母の日の白い薔薇
筍のえぐ味の残る舌の先

  雨竜
青空の新樹の下の女学生
窓際の見舞ひの篭の薔薇の華
大空を雲が埋めて立夏かな
母の日のネットショップでで送る花
雉子の声くももくもくと湧きにけり