第358回四天句会
令和元年6月13日
   
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兼題 石楠花 蝙蝠 夕立
席題 葛桜 


  利孟
開演のベル大窓を打つ夕立
青嵐雨漏り痕の壁の染み
杉木立奥の石楠花明かりかな
蝙蝠の舞ひ来棟上げ祝ひ酒
薄濁るくずに甘さの葛桜

  あやの
石楠花の狭める路地の書道塾
ガスタンク丸く洗はれ夕立あと
蝙蝠や子らの帰りし児童館
梅雨晴間昔の色のレトロバス
葛桜女将の帯の貝の口

  比呂志
蝙蝠の群飛び立ちて陰る月
籐枕の編み目を頬に起き出して
夕立のあとビル街の蒸れてをり
石楠花や四方に窓なき大倉庫
冷たさの餡玉とろけ葛桜

  恵一
石楠花や石くれ多き熊野道
蝙蝠の出づる二階の雨戸より
みづうみの向ふ岸より夕立来る
笛吹川の信玄堤黄菅咲く
黒文字に葛の手応へ葛桜

  雨竜
名水を掬ひ涼しき逆さ富士
風穴の蝙蝠揺れるねぐらかな
平らかな欅の座卓葛桜
夕立やその一言に勇気あり
石楠花や熊野詣での尼将軍

  虚承
葛桜引戸を跨ぐ暗き店
石楠花や淡きルージュを選りし朝
夕立や跳ね橋戻る間のしばし
BSの画像乱して雷雨来る
蚊喰鳥と言へども我気味悪し

 武甲
蝙蝠にしやがみ込む子やジオパーク
石楠花や外人客の集ふ寺
早苗田にうごめく泥の魚影かな
名瀑のしぶく茶店や葛桜
夕立や車列の切れぬコリドー街

  義春
夕立やテニス仲間が音見詰め
青葉木菟街の大樹の深き闇
石楠花や緑化指定の古屋敷
蝙蝠の曲がり自在に川の上
葛桜清少納言の昼下がり