第355回四天句会
平成31年3月14日
   
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兼題 椿 雛 蛤 花見

  利孟
巡礼の杖追ふ歩み落ち椿
雛納め男雛は女雛の裾の間へ
参勤の殿のご所望焼き蛤
椿山その幻の白椿
花の宴ブルーシートの覆ふ屋根

  武甲
花の面を割りて漕ぎ出す花見舟
学舎の磨きし出窓サイネリア
古雛の埋める石段ひな祭
山盛りに蛤をかけ漁師めし
卒業の声の上ずる答辞読かな

  恵一
青銅の女神は濡れて春の虹
場所守のしばしひとりの花見かな
雛の間を鼠くはへて猫とほる
焼き蛤開きしところ酒醤油
船頭の振り返へらずや島の花

  あやの
昏がりに囁く雛のおちよぼ口
辞す客に泣いてバイバイひな祭り
籐かごに太るパン生地花ミモザ
身は食はれ殻は塗られて大はまぐり
この刻をいつか思ほゆ花見かな

  比呂志
蛤の身の宙づりに口を開け
風に落ち風に転がり白椿
枝先に木蓮の芽のつんと吹く
今年また一組増えて紙雛
後ろ手に膝をかがめて花見かな

  雨竜
高尾山より都心まで春霞
十畳に栄華の夢の段飾り
蛤の大あくびして蜃気楼
吉野山酔ひて下るや花見酒

  義春
蛤の口開きて醤油一たらし
満天に山の主の紅椿
終点の単線ホーム蓮華草
祝ひ歌実家に残る内裏雛
夜桜の締めて新人赤提灯