第３５４回四天句会
平成３１年２月１４日
利孟
泡一つ吐き寒鯉の影消ゆる
裾みだすこと無く吹かれ雪女郎
高校へ離るる島や春一番
白梅やＭＡＲＣＨ合格祈願絵馬
冬の水近江は井伊の赤備へ
義春
初午や迷子狐の面被り
春一番小舟光りて浮き沈み
奥飛騨の夜半の静寂や雪女郎
寒鯉の旨煮は志賀の都かな
冬の水朝一番の青きふじ
恵一
あのひとの弔ひゆゑと雪女郎
土煙わが家を包み春一番
寒鯉のしろがねの尾を一打ちす
傷つきし頬に掬ひて冬の水
側溝に洗ふ大根朝餉かな
武甲
厠への板張り廊下雪女郎
豆腐屋の戸開ける音や冬の水
寒鯉の胴寄せ合ひて心字池
学舎の垂れ幕めくり春一番
はふはふと鍋焼うどん妻の留守
あやの
ビストロの三色旗縒れ春一番
春隣靴とかばんを磨き上げ
機織るをぢつと見つめて雪女
帰宅子の荷から貴船の寒の水
寒鯉の挙るも水の重たかり
比呂志
凍滝の飛沫の飛びたるまま止まる
ビル街の動き始むや春一番
冬の水植木鋏の軽き音
寒鯉の尾の一振りに濁る水
関越道トンネル抜けて雪女郎
雨竜
雪女郎深夜のドアを叩く音
冬の水千日行の修行僧
寒鯉や耳を澄ませば水の音
春一番皇居一周駆け抜ける
節分や草刈る機械の音を撒く
