第368回四天句会
令和2年4月10日(金)
   
兼題 行く春 新社員 落とし角 
席題 人麻呂忌
点盛り表は、リンクをどこかに埋め込んであります
ご興味のおありの方はお探しください


  利孟
角失せし頭すり寄せねだる餌
ネクタイの曲り直され新社員
行く春や薄くれなひの菓子の色
雨音の静かな夜明け人麻呂忌
花といふほど無き花の青楓

  あやの
洋食屋にコックの人形暮れ遅し
遺されし歌書に傍線人麻呂忌
よそゆきの出番来らず春行けり
裏山の花爛漫に落し角
厳かに電話を取りて新社員

  比呂志
行く春やソプラノ歌手の声抜けて
謎多き新型コロナ人麻呂忌
戦ひの勝ちを誇りて落し角
食堂に棟に名札のしんしゃいん
麗かや思考の中に眠り落ち

  義春
行く春や誕生仏の台座跡
初鰹今朝ご祝儀の競りの声
角落ちてなよなよ群れの後歩む
新社員スーツはアオキツーパンツ
万葉の都にひとり人麻呂忌

  虚承
七三にいちご白書や新社員
裃を脱ぎて定年落とし角
セクハラもパワハラもなく四月馬鹿
行く春や見送る妹がはにかみて
人麻呂忌月を愛づりて銀山に

  雨竜
ネクタイの緩みを直し新社員
落とし角雲ひとつ無き青い空
虚空かな母の言葉を思い出し
行く春やぐずる子供をあやす声
ありのまま朝日を愛でむ人丸忌