第79回 平成15年1月12日

懇親会


石塚信子
腕白の頭小突いてお年玉
日に弾む足音軒端の寒雀
折り合ひのつきしやりとり達磨市
青空へ掛けたる梯子出初式
編隊の目標湖へ初飛行

泉敬子
初夢や嫁ぎゆく娘の手毬歌
鮟鱇鍋燈台の灯の届く宿
すぐ分かる我が子の癖字年賀状
初湯かな不老不死てふ露天風呂

大塚登美子
羽子をつく音のときどき露地の奥
手話の子の手を出すお礼お年玉
再検診告げられ重き寒の水


大貫ミヨ
初詣音を重ねてお礼駒(香車堂
蒼天に雲井調子の初音かな
蹴り上げし木の粉雪をかぶりけり

岡田耕
日の届く上がり框やお年玉
田も畑もほのと湯気立つ淑気かな
初風の髪を揺らしてゆきにけり

柏崎芳子
湯気あふれさせ奮闘の年用意
夫と子と孫の散歩の道小春
孫供に特等席の初芝居



片山栄機
筑波嶺の峰を引き裂く虎落笛
畑千段霞を集め陽を閉ざす
鴨上がる百羽の羽に陽を受けて

川島清子
人波に揉まれむと出る三日かな
裏木戸の閂の雪雫して
枯葦に狭まる水面沼眠る
初夢やバザールで選る金細工
お年玉戦も飢ゑも知らぬ子等

川村清二
上々といふ初夢の茄子の夢
達磨の目開けて積み上げどんど焼き
お降りの窓の明るさ朝寝かな
達磨の目大きく開きお焚き上げ


標幸一
雪降りて薄墨色の甲斐の山
もみぢ手の満面笑みのお年玉
ふはふはと髪に雪載せ露天の湯
初夢の正夢なれと神酒干す

田中鴻
はきはきと年玉欲しと孫娘
ほろ酔ひに富士の初夢語る父
年玉の品をあれこれ若夫婦

とこゐ憲巳
凍て鶴や二分遅れの始発駅
書添へた名を呼び配るお年玉
半襟に緑を選び着衣始め



栃木昭雄
お年玉子ら駆けめぐる奥座敷
お年玉袋と句帖二冊買ふ
お年玉背に眠る子の大あくび

福田一講
風凍てるシベリア大地油井の火
尼僧院包み明るき冬木立
舌打ちの頬の霜焼け女馭者
社会鍋ユーロ紙幣の二三枚

へんみともこ
干すシャツに纏はる湯気や寒の入り
年玉に添へし言葉の長さかな
寒卵黄身の厚きを箸で切る
清らかに抜きし衣紋や寒椿
聖樹の陽雨の歩道に零れけり



堀江良人
屋台の灯漏れ門松を点しをり
新築の家に大きな注連飾
軒端まで連なり下がる冬星座

三澤郁子
凍蝶の紋くつきりと大玻璃戸
お年玉並べてレジの側にかな
初夢の賢治と歩きゐたりけり

森利孟
寒垢離の念仏息を急くばかり
二夜見る初夢日付変更線
一点の寒し目の飛ぶ網タイツ


1月13日大前神社で


寒晴れや結城の里の杼の走り  昭雄

冬うらら光の中に花頭窓    ともこ

冬うらら結城紬の糸の艶    郁子

機音のひびく蔵町初吟行    憲巳

ゆづり葉や飛白百年ほどの技  利孟