第131回 平成19年9月16日

   良人
・ 朝がほや数減りて増す色の濃さ
  月の雨降るは八尾の定めかな
★ 街明かり雨月の空を低くして
  猫遊ぶ庭の一叢草の花
・ 斜に向き譲る木道草の花

   比呂
  秋晴れや暮鳥の雲の山越ゆる
・ 雲が雲追ひかけてゆく月の雨
・ 蛇蜈蚣戦ひし野や草の花
・ 源流は草の雫や一遍忌
★ 小面の口のお歯黒涼あらた

   ともこ
◎ 草の花木屑散らしてチェーンソー
・ 親猫の聞耳をたて雨月かな
◎ 児の髪に草の匂ひや秋高し
◎ 開拓の祖の名の地名水澄めり
・ 新涼や絹鳴り軽くと締める帯
   信子
・ 短日の岩に躓く川の水
・ シャガールの青き恋人星月夜
◎ 雨月かな眠らぬ街の火くらがり
・ 一粒もこぼさじと研ぎ今年米
◎ 過疎の村の朽ちし牛舎や草の花

   永子
  草の花避けて畦刈る農機かな
・ 海の家閉ぢて打ち寄る男波かな
・ 海原の白帆惑はせ初嵐
◎ 婆ひとり守る出湯の走り蕎麦
・ 遮断機の降りて雨月の終電車

   昭雄
◎ 雨月闇蔵に一つの明り窓
・ 蔵町の夕闇ふかき雨月かな
・ 隠沼の水湧くあたり草の花
  骨董屋傘入れ甕に残る虫
  草の花のを行くときは自転車で
   登美子
  ひとり生れ紅美しき草の花
  足音もまれな畦道草の花
  漱石の福猫逝去雨の月
◎ 口中に飴遊ばせて雨の月
・ 煙の香まとふ赤飯秋祭り

   美代
・ くれそむる日矢にぎやかに雁来紅
・ 大香炉のほとぼりついえ雨月かな
・ 山積みの炭のほとぼり下り鮎
・ 隧道の闇に水音草の花
・ 水切りや夕焼けの川面渡りきる

   憲巳
・ 一人居て秋の声聞く喫煙所
・ 五十肩病みて五月秋の風
  洗濯を干す俺の背や秋の風
  透き通る傘で帰りぬ雨の月
  号外の病んだ写真や秋の風
   芳子
・ 天地の間抜け来て稲光
  空蝉の生きざまの果て蟻が引く
・ 雨月かな旅寝の枕馴染まざる
  語り部の語尾の和らぎ草の花
  留守電のひねもす無音秋の雨

   敬子
  新涼やワインに交はす傘寿の賀
  敬老日米寿も共にフラダンス
  語部の雨月や狐の恩返し
・ 通り雨来て立ち上る草の花
  沿道の呼び声弾み葡萄狩

   利孟
  貰ひ飯食ひに来る猫草の花
  アーケード一斉点灯して白雨
  クラス毎稲架一本の学習田
  ステーキのしたたる脂雨月かな
  朝涼や大工道具を並べ置く