第140回 平成20年06月27日
     昭雄
・ 梅雨晴間読めぬ字数多一揆の碑
☆ 籠の目に軍鶏の眼動く梅雨晴間
  棟上の手うち緑の山谺
・ 梅雨晴間小太鼓鳴らし紙芝居
☆ 桐の花土蔵(くら)に鏝絵の月兎

     比呂
☆ 梅雨晴間犬が人曳く長堤
◎ 神鶏の夜の小(ささ)鳴き栗の花
・ はかなきは雨後の雲間の梅雨の月
◎ 仏足石のたいらに光る梅雨間晴
◎ 戯れ唄も揶揄も訛や球磨焼酎

     信子
・ 芋焼酎明日は良い事ありさうな
◎ 美容師のせはしき鋏夏の雲
◎ 初茄子太さ褒められ摘まれけり
  東京も梅雨の空よと呟けり
・ 拍手の二つ高打つ梅雨晴間
     一構
◎ 山小屋の梁に秘蔵の芋焼酎
  まくなぎの群の息継ぎ待ちて撮る
  転倒のビリもまたよし梅雨晴間
◎ 薔薇咲くや香り届かぬ距離に居て
  木道に鈴の音軽し夏の空

     ともこ
・ 青蜥蜴つの字に躱し失せにけり
◎ 時鳥うつすら白む明り取り
・ 梅雨晴間けやき並木に生るる風
・ 紫陽花の蕊の散り敷く雨の磴
・ 方言の書かれし暖簾藷焼酎

     永子
  日に焼けるほどには上がらぬ釣果かな
・ 岸壁に錆つく錨梅雨湿り
・ 大空へ登るリフトや梅雨晴間
◎ 母の膝小さく尖り夕端居
・ 泡盛を酌み蛇皮線の弾みだす
     敬子
  楠若葉みくじおほかた右結び
◎ 梅雨晴れや螺髪浮き立つ如来像
  芭蕉の碑とり囲みたる九輪草
  六月や田仕事終えて湯治場に
・ 泡盛をなめ尺八を吹き鳴らす

     小大
  焼酎や友の来たりて盃重ね
  せせらぎやあぢさゐ坂の雪の下
  瑠璃色の紫陽花浮かぶ梅雨晴れ間
  梅の実を落とせ落とせと大わらは
  梅雨晴れ間洗濯干しに主婦急ぐ
  縄暖簾芋焼酎をくみかはす

     利孟
  焼酎のコップ二の腕撫しながら
  花四葩地図見て坂の登り口
  焼酎に魚の缶詰立ち飲み屋
  雨音にまぎる潮騒枇杷熟るる
  梅雨明けや市場通路のうすら闇
     憲
・ 焼酎で献杯伯父の通夜更ける
・ 湯ぼてりや一口含む芋焼酎
  焼酎のグラス傾け海のぞむ
・ 水割りの芋焼酎に差す夕日
  焼酎は水で割らずといふ好み

     幸子
・ 棟上の槌音響く梅雨晴れ間
  病みあがり銜む焼酎ほろにがし
・ 梅雨晴れ間跳ねて歌つて子の帰る
・ 遠雷に話の筋のあともどり
・ 枝折戸の内外埋め七変化

     登美子
・ 蛇逃がす夫の病の癒えしあと
・ 瑠璃色の首もつ鳩や梅雨晴間
・ 焼酎の飲み方談義同窓会
・ 伸びてゐる蛇に鼻歌止まりけり
  梅雨晴れ間広葉にたまる水光る
     鴻
  梅雨晴れ間洗濯物を急ぎ干し
・ 泡盛や醸造元に置く珍味
・ 串焼きの雑魚を噛みつつ冷し酒
・ 早苗饗の休みの消えて今昔
・ 雑草の早き成長梅雨晴間

     芳子
・ 風孕む帆のま白なり大夕焼
  高々と道着干しゐる梅雨晴間
  うぶすなの流す形代走り書き
・ 焼酎のグラスの音の澄みにけり
・ 三世代着継ぐといふも更衣

     良人
  堪へがたき喉の渇きや冷焼酎
・ 薄濁る鬼怒の流れや梅雨晴れ間
・ 擬宝珠の鈍き光や梅雨晴れ間
・ 焼酎やこつくり座睡の縁座敷
・ 木もれ日に眩しさの増す梅雨晴間