第155回 平成21年10月18日


     利孟
  うねり串打たれ臈たけ子持鮎
  身に入むや唐人寺の石の床
  「変身」と叫び振る腕葉鶏頭
  ちちろ蒸し経のはじめに諸仏の名
  引き探りまた引き寄せて鯊を釣る

     ともこ
◎ 錆色に澱む釉薬葉鶏頭
・ 秋澄むやローズヒップは紅色に
・ 初紅葉なぞへに上る土塁跡
  今年米きもち小粒と言ひ添へて
  山の灯の闇に明滅身に入みる

     聖子
◎ 天高しバターの走るフライパン
・ 袖捲る上司の小言そぞろ寒
  秋深しベンチに髪を梳く女
  折り折りの暮し大事に零余子飯
  葉鶏頭日に一便の路線バス

     信子
△ 秋天に整列屋上駐車場
△ 身に入むやあきずに返す砂時計
・ 貸切の青空一日運動会
・ 身に入むや口開く土偶繕はれ
  子育ての遠い記憶に葉鶏頭

     比呂
△ 権禰宜も禰宜も締込み泣き相撲
△ 身に入むや錢で贖ふ彼岸の名
・ 遠畑に立つ細煙鳥帰る
・ 秋冷や御手に水掻きある仏
  かまつかの疾く色づかな禁漁区

     昭雄
△ 身に入むや生木に残る五寸釘
・ 袖を擦ることも縁や葉鶏頭
・ 葉鶏頭画布をはみ出す炎のゆらぎ
・ 身に入むや主治医の首を傾げれば
・ 葉鶏頭灯ともしごろの真暗がり

     一構
△ 身に入むや苔の岩擦る船下り
・ 身に入むや浅草仲見世雨の中
・ 葉鶏頭の花壇を抜けて美術館
  ゆらぎ見る線の紅葉の裏磐梯
  草原に身に入む音か靄かすむ

     敬子
・ 木戸くぐり紅葉浄土の峡の宿
・ 休診の作務衣の医師の甘藷掘り
・ 身に入むや老々介護の歩行補助
・ 邂逅の友や紅濃き葉鶏頭
  素十忌や秘湯に出会ふ若き医師

     憲
・ 燃える赤に元気をもらひ葉鶏頭
・ 身に入むや一肌の酒恋しくて
・ 身に入むや老い行く年齢を数へれば
・ 鶏頭花眩しきほどに咲き誇る
  朝晩や身に入む風に季を知る

     登美子
・ 婚の家囲みてそばの花白し
・ 踊り子の裾のひろがり鶏頭花
・ 鎌倉の美男大仏野菊晴れ
  膝抱いてあかず眺める葉鶏頭
  身に入むや銀幕の人面疲れ

     ミヨ
・ 鳩の来て片羽をさぼす庭の秋
・ 雨戸透く灯にかたよりぬ鉦叩き
  噴霧器の目づまりを鳥葉鶏頭
  すだち熟れ目立つ枝より鋏入れ
  身にしむや銅山に錆びつく鶴の嘴

     良人
・ 舟に吹く風の身に入む最上川
  菜園の夕暮彩る葉鶏頭
  湯帰りの空の北斗や身に入みる
  嵐去り抜けたみ空に後の月
  立ち止まる園児の目線に葉鶏頭

     憲巳
・ 渋柿のたわたわと成る袋小路
  相応の小さき実食む庭たたき
  身に沁むや旅の終はりの無人駅
  枡の目の身に入む屋台一人酒
  政権は変はれど同じ葉鶏頭

     鴻
  葉を落とし実ばかりとなる枝垂れ柿
  園児らのはしやぎ声してりんご園
  台風の上陸予報野良仕事
  かまつかや色鮮やかに人を呼ぶ
  台風や台湾の旅迎えおり