第181回 平成24年1月22日日
兼題: 万年青 双六



  利孟
 夜籠りの葬の灯しや雪しきり
 万金で婚の一式福袋
 二荒のお山越えよと吉書揚げ
 飾り炭脇へ万年青の藍の鉢
 絵双六三島女郎と越すひと夜

  ともこ
◎日めくりを一気に破り初仕事
○絵双六折り目の山や谷熨して
○松毬ことんと落ちて山眠る
 薄紙を剥げば香れる室の花
 華やぎのイベント広場室の蘭

  登美子
◎うす紙をはずし華やぎ室の花
・室の花抱いて赴任の地へ発てり
・掛け軸の滝にふるへて室の花
・双六や父の一振りしたる賽
 子育ての教材の中絵双六

  敬子
○仙人の白杖となり大氷柱
・双六の上がり上手の左利き
・寒牡丹薄れ日受けて咲き初むる
・炉話や昭和平成共に行き
・室咲きの薔薇の花弁の揺れも無く

  ミヨ
○団子花重き帯戸の裏の闇
・競ひ振る賽のこぼれて絵双六
・いつまでも兎の租借春隣り
・初硯三体に書く千字文
・室の花女将の筆の酒の瓶

  恵子
○半時で世界一周絵双六
・初参り人工衛星弧を描き
・雪暮れや冷や飯を足す鍋の汁
・東北の酒を並べて新年会
 大鳥居盛り髪に咲く室の花

  聖子
○朝礼の社歌は白息吐きながら
・飯粒で貼りてでこぼこ絵双六
・会議室よりの叱声寒の中
・着ぐるみの獅子舞の出て達磨市
 室の花小暗き朝の化粧室

  田村
○振り出しに戻りのなくて絵双六
 冬渡祭へ去年の想ひも納め来ぬ
 壺中天色取り取りに室の花
 雪曇る男体山捉ふ室の花
 さいころを振る指先の冷え冷えと

  信子
○絵双六D51煙吐きて発つ
・源泉に湯音漲り淑気かな
・なかんづく蘭の繚乱室の花
・天井に透ける青空室の花
 神馬像みくじ結はへて春を待つ

  比呂
○鶏旦やまだ星残る山の宿
・双六の折り目に賽のまたころぶ
・保育器の中なる赤児室の花
・唸りては肥る赤子や実南天
 野老掘る山の眠りを妨げず

  芳子
○矢を放つごとに声湧き的始
・家ごとに違ふ餅花屋敷町
・夢つひえ振り出し行きと絵双六
・正座して待たせる子等へお年玉
 母のため窓辺に置きし室の花

  昭雄
・婆の手も借り手造りの絵双六
・節くれの手が振る賽や絵双六
・日を水を土を拝みて打つ春田
・日足伸ぶ棚田に杭を打つ槌音
 厨事そこそこ室の花を見に

  良人
・流転また流転輪廻の絵双六
・東北の絵地図の消えて絵双六
・色ひかり香りの満てる室の花
・病室の窓辺に温き室の花
 六の目は来し方無縁絵双六

  松本
・ぬくぬくと色鮮やかに室の花
・年ごとに高き石段初詣
・絵双六行きては戻り進みけり
・冷たさの怖さを知らず室の花
 人生と同じ歩みの絵双六

  鴻
・水洟や拭ひてもまた拭ひても
・初雪や子らのだるまの土まみれ
・絵双六子等と賽の目数へつつ
 万年青の実ルビーの如く鎮座せり
 和服着て思ひ出す子の懐手

  於した
・裏白にどんと尻据ゑ鏡餅
・室の花受付嬢の丸き文字
・水仙の香りいただきつつ行けり
 一枚を脱いで集中お書き初め
 まゆ玉を揺らしてペタル踏みしかな

  健
・室の花語りかけるといふ絆
 遊ぼうよ双六消えてメール便
 清潔や便通良しの万年青の実
 生きざまは双六に似たゲームかな
 初市や賽に赤の目縁起物