第301回  令和4年4月9日 Zoom
兼題 彼岸 牡丹の芽
3・4月合併句会につき、急遽2句追加投句


  利孟  
 日溜まりのあれば憩ひて蝌蚪の群  
 茶摘機の進めば色を変へ茶園  
 駄菓子屋の暗き電球名残雪  
 初午や酢飯に具無きいなり寿司  
 初彼岸赤で夫の名刻む墓誌  
 衛兵の白き鼻筋春の闇  
 芽牡丹の紅を育み夜の帳  

  良人  
☆筑波嶺の山の端うすき彼岸かな  
○あさもやにけぶる山寺彼岸かな  
△雲巌寺木立影ます彼岸かな  
△揺れもせず雨に打たれて牡丹の芽  
△ことさらに赤き夕日のお中日  
△薄墨の桜大樹に人寄せて  
△石塀を越えて桜の枝垂れけり  

  比呂  
☆仏具屋の昏き灯りや春時雨  
○翻車魚の尻尾どこから春うらら  
○春祭一の鳥居は川向かふ  
△微笑みを覚えし赤子犬ふぐり  
△ためらひを一気に解き山笑ふ  
△茎立ちの黄花の盛り妻の留守  
△遊行めく散歩の朝の初音かな  
 父の忌に集ふはらから牡丹の芽  
 香煙を子の頭に分かつ彼岸かな  

  信子  
△啓蟄や王手の駒の音高く  
△浅春の空突き抜けて打球音  
△三度飯食す幸せ牡丹の芽  
△在りし日の夫の大声入り彼岸  
 早春の山の四方に登り口  
 共学となりし女子校入学す  
 鶯やこけし万年位置変へず     

  英郷  
△咲き遅れ紅のいや増す赤八汐  
△片栗や雑木の影に紅帯びて  
△彼岸会の兵を進めて小ロシア  
△御止山幾星霜経し牡丹の芽  
△令月や相撲取草摘み取りて  
 かのひとの教へ思はる彼岸かな 

  美恵子  
△警策で終はる座禅や牡丹の芽  
△山寺へ詣でて出社春彼岸  
 縁に居て猫撫で眺む春の庭  
 鼻拭ふ検査の結果待つ彼岸  
 雪ん子の藁の帽子や冬牡丹  

  聖子  
○年上の新入社員牡丹の芽  
○ひとり居の母を迎へに彼岸かな  
△牡丹の芽歩み助けて杖の音  
△休日の遅き朝食牡丹の芽  
 雲流る坂上の墓地彼岸かな  

  ミヨ  
○彼岸会の日ざしの届く位牌堂  
△風さそふ吊燈籠や牡丹の芽  
△群咲きの水仙四方に花咲かせ  
 溶岩くづる那須野が原や水温む  
 ここに住み重ねた日々や五加木飯