第324回  令和6年3月23日 Zoom
兼題 虚子忌 山桜 亀鳴く 雲雀 春の食べ物



  利孟
 山桜水車に落とす富士の水
 白牡丹重たく咲いて惜春忌
 田舎蕎麦に皿の天麩羅蕗の薹
 亀鳴けば列を整へ池の鯉
 飼い葉つけ終えたる厩舎春の月
 雲雀落つ御料の牧の広ごりに
 小中と同じ制服進学す

  信子
☆我も子もここが生国草の餅
△ひとしきり荒れし雨風木の芽和へ
△風が風呼びさんざめく山桜
・夫逝きて後の三年蜆汁
・入相の鐘や虚子忌の畑の辺に
 遊びをる雲雀の好きな空の丈
 鳴くことのあるやと重なる亀に問ひ

  比呂
☆揚げ雲雀空の在り所は雲の中
・山桜一遍上人粗衣裸足
・椿寿忌や美声の僧の誦経して
・菜の花の海ゆくトロッコ列車かな
・辻褄の合はぬ饒舌桜餅
・雛仕舞ひ遅れ菱餅反り返へる
 亀鳴くや学芸会の馬の足

  ミヨ
△開通の路面電車や春の雷
△空に声残し雲雀の落ちにけり
・軒桁の奥なる闇や燕の巣
・本堂の広き階山ざくら
・折畳み机のキキと風知草
・青蔦の袖垣伝ひのぼる空
 石際に温む牡丹の一花かな

  美恵子
・韮粥の一匙ごとに元気得て
・よちよちとパパのゴールへ青き踏む
・山桜展望テラスの缶チューハイ
・揚雲雀試着あれこれしたスーツ
・脇息にもたれ虚子忌の淡き空 
・亀鳴くや加賀藩邸の心字池
・甘党の息子のメール蓬摘む