第330回 令和6年9月28日19時 ZOOM
兼題 稲妻 青蜜柑 赤とんぼ 秋桜



  利孟
 雲厚き広野稲妻立ち上がる
 茹でたての淡き塩あじ落花生
 バス旅の背ナ越しに受け青蜜柑
 奥山に人寄す蕎麦屋秋桜
 川下る風に群れ乗り赤とんぼ
 備長炭白く耀き秋刀魚焼く
 秋彼岸米一升の供養料

  信子
☆キャンバスに揺らすコスモス写生会
△百が咲き百の静けさ蓮の池
△川いくつ名を変へ海へ青みかん
△赤とんぼ一息入れた鍬の先
△秋桜風捨て次の風拾ふ
・秋の鮎泳ぐかたちに串打たれ
・初さんま骨のきれいに残る皿

  比呂
☆束の間を牧に群れ来て秋茜
△子をあやすやう揺れ続け秋桜
△火の粉浴び手筒花火師仁王立ち
・一炊の夢より覚めて青みかん
・遠稲妻精神科医の聞き上手
・無花果の熟れ容喙の野鳥どち
 担ぎ手に強酢を効かす祭寿司

  美恵子
☆かぞへ唄忘れぬ母や吾亦紅
△赤とんぼ捕へて赤さ比べかな
△雷都なる日本一の稲光
・剥きながら甘さを思ひ青蜜柑
・十六夜の叢雲流れゆき端居
・名物の稲妻夜ごと走りをり
・青空へ花を押し上げ秋桜

  ミヨ
△秋桜の原霊山を遠くして
△歳重ねくづる切り株初きのこ
△暖流の届く入江や青みかん
・燈籠の窓をふたぎて初紅葉
・かんぺう棚からまり解く昼下がり
・夕暮れの空を引きとめ赤とんぼ
・惜敗の熱き土詰め甲子園

次回予告
第331回 令和6年10月25日13時から
兼題 十三夜 秋の暮れ 栗羊羹 時雨