3月27日(月)、現地調査を受けて、東京守る会と、三重・名古屋の支援者13名が、各省庁に要請をしてきました。各省庁には、全国から集められた署名と、現地調査参加者一同からの決議文を提出してきました。
■ 名古屋高裁
部屋に案内され、13時きっかりに豊島訟廷管理官と大島次席書記官が対応しました。東京からは、再審決定を機に「名張事件」への関心が広がり、昨年の集会を通し支援が広がったこと。東京でこれだけの人々の関心が集まったのは、やはり奥西さんが高齢であること、にもかかわらず、不当な異議申立により、再審自体がはじめられていないことに対し「何かしなければ」という思いからだと伝え、そして、審理をつくすことは大切だが、検察官の異議申立や、その後の書面を見ても、再審決定を覆すものにはなっていない。奥西さんの年齢を考え、異議審については早期に棄却して欲しい。と訴えてきました。特別面会人の稲生さんからは、「無実を訴え、自分が判断を下す相手が、すぐそばにいるのだから、裁判官は奥西さんに直接会って欲しい」と強く訴えていました。
■ 名古屋高検
高検側は「忙しいから」という理由で、担当検察官は顔を見せず、庁舎内にも入れることもせず、ただの連絡係のような事務官が出てきて玄関口で要請書と総会決議を渡すだけ……という社会常識のない対応を受けました。地元の方が「東京からわざわざ来ているのに、その対応は名古屋人としては恥ずかしい」と詰め寄りましたが、結局はその連絡係の方に伝える形となりました。何を言っても「私じゃ判断できない」という対応。やはり、直接の担当検事に会って、直接要請をしないと、きちんと伝わらないと思いました。
■ 名古屋拘置所
ここでは今まで要請人数を5人と制限されてきていました。理由は「部屋が狭いから」。今回、東京から6人来ているので、狭くても構わないから6人で要請したい旨を門のところで押し問答しましたが、結局は「3人だったのを5人にしたのだから」ということで、5人しか入れてもらえずに、とにかく部屋へ案内されました(昔は、全員が要請でき、お茶も出た)。ソファーと椅子があったので、ソファーにかけていたら、「そこは上司が座る場所だから」とどかされてしまいました。お客さんをどかすなんて非常識。ここでも社会常識のない縦社会の片鱗をみました。
中森康雄総務部長が対応。「死刑執行停止の判断が出ているのにもかかわらず、1年間も対応が変化しないのは何故か」という問いに「他と平等に扱わないといけない」「死刑囚の心情の安定」「法律で決まっているから」「検察が異議を出しているから」とのこと。検察は、“再審決定”には異議を出してはいるが、“死刑執行停止”についての異議は出していないはず。「法律には“死刑囚は未決に準ずる”としている。法律より通達を上にするのはおかしい」と反論してきました。「“心情の安定”というが奥西さん本人に聞いたことがあるのか?」という問いについては、「聞いたことはない」とのこと。異議が出されようが、死刑執行停止の身である奥西さんを拘置所に留めておく理由がないのだから、今すぐにでも連れて帰りたい気持ち。拘置所として、手続きがないとできないのはわかっている。それでも、一定の司法判断が出された今、奥西さんについては“特別扱い”をすべきで、拘置所としてできることは直ぐにでも実行して欲しい。例えば、拘置所の理解が間違っている部分(検察が異議を出しているという部分等)を確認し、拘置所が今の奥西さんにできる最大のことをするべきだし、できるはずだと訴えてきました。
奥西さんの年齢を考えたときに、各省庁の対応にイライラするばかり。万が一、獄死なんてことがあるなら、国全体で無実の人を殺めたことになる。再審という司法制度があるのだから、間違ったことは謙虚に受け入れるべき。私たち運動体としては、思いつく限りの手だてを尽くして、奥西さんを取り戻していきたい。
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