postscript
〜後書き・それからついでの「東邦シリアス」穂月的感慨〜

 



 蛇足を覚悟で、この話だけ敢えて[後書き]の形を取った場所を置かせて頂くことにしました。よろしければ以下、お暇な時にでもお付き合い下さい。

 まず、これは初出のコピーが変則な形態だったので、またその仕様に合わせて書き下ろしたものだったので、やや説明不足、もとい常にも増して感覚的な話運びとなっております。ネット上でお読み頂く場合は、多少、もの足りない感じになるのを覚悟での掲載です(いや、それは読んで頂く前に断るべき事なんじゃあ…)。
 ジャマっけな感じで途中途中に入っている文は、元のペーパーでも隅っこに置いてありました。冒頭のミニ散文共、これら込みで一本と受け取って頂けると有り難いです。正確に言うとキャッチ(?)は初出と比べて二本ほど増えてますが、それはペーパーのレイアウトスペース的に入らなかったものを、この機会に復元(笑)させる形になったためです。そのたかだか二本が入るだけで、おそらく前より少しはハッピーエンドっぽくなったのではなかろうかと。これでも。(だが当時はわざと選んで外していた…。うーん)

 タイトルの「エントロピー」とは熱力学用語?
 えーと[1.物体の熱力学的な状態を示す物理量の一つ; 無秩序の度合いを表わす 2. (漸進的な)一様化, 均質化; (質の)低下, 崩壊..ドイツ語]だ、そーです。研究社新英和中辞典より。
 うむぅ、こう書くと余計にワケ分からん気が。当時の自分が分かってて使ってたのか、今ギモンさえ覚えました(笑) あまつさえ、それと形而上学を一緒に文中並べている…。何だかひたすらムチャクチャな感じ。あ、ひょっとしてドイツ繋がり?!(←確実に違う)

 書いた当初のペーパーにも載せましたが、この話はもしかして長いストーリーの一部分なのかもしれません。私の書くスタンダードな東邦シリアスの最終形態とでも言うか。やたら若島津の口が悪かったりしますが(そしてウチの若島津は日向に敬語を滅多に使わない…無理に使わせるとなぜか厭味っぽくなる…。なーぜーだー)、恐ろしいことにこれが基本形です。口が悪くて荒っぽくて暗いヒト(笑) プラス、日向は根暗。
 いつからか、私が書く上では根は日向の方が暗いヒトになっちゃいました。若島津は「自分がクラい」自覚があるだけマシなんでしょうか。日向は根暗いクセに自分で気付かずポジティブ・シンキングを心掛けたりするので、その根性は並み大抵ではナイ。てゆーか、可能か、それ…?

 あと、今になっての自分の感想として。
 当時「マグネティカ・もし高校生の時にデキちゃってたら!バージョン」と銘打っていたくせ、よく読み返すと(今回、死ぬ気で改稿のため読んだ・泣)、これは「嵐が丘」の後の話っていうのが正しい気がしてしまいました。そう考えると、ウダウダやりつつ、お互いのことを「何考えてんだか分かんねぇ」とぼやきつつ、この人達は頑張って根性振り絞って、大人になっても相手に恋をし続けていく気がしたりして。
 そのことも、再録にあたって、ついでに付記しておきたかったというのが本音です。(しかし──…「根性を振り絞らないと」続けられない恋ってのもナンだかなぁ。そんな面倒なの、自分ごとだったら願い下げだなぁ・苦笑)
(※「マグネティカ」...高校生の時にデキ上がらず、その後10年近くたってからやっとカップルになった人たちの話。印象派から発行・個人誌。 「嵐が丘」...完全東邦シリアス、一応寮生活中にデキあがってる人達。前後編でゲスト掲載)


 穂月は「東邦シリアス」にはどうもかなり思い入れがあるようで、あり過ぎて最近は書かなくなった、というくらいネタ的には入れ込んで書く場合が多いです。何パターン書いたか既によく覚えてはいませんが、いつまでたっても自分が納得出来ない…。まあ基本だし…?
 ───高校生の、フツーの男の子達が書きたかった。フツーで、女の子を好きになったこともあって、ある日突然に隣の友達の存在に気付いたりする。目を逸らして、唇を噛んだりして、眠れない夜に押し潰されちゃうような男の子達。手を伸ばしちゃった時点で「普通」じゃなくなるわけなんですが、そんな中でもお日様は昇るし腹は減るし、期末試験はやってくるでしょう。喘ぐみたいに空気が薄くっても、大人の言ってる事に納得なんか出来なくっても、制服着て馬鹿やってみんなと笑って、ちょっと大人っぽい目を時にはしながら生活は続く。
 そうやって、毎日を過ごしていかなきゃならない高校生の男の子。

 自分が高校生の時から「東邦シリアス」にはこだわっていたので、単なる郷愁とも違う感じはしてるんですが(笑) そーいうギリギリのおセンチと切迫感を、どうも私は「東邦シリアス」に求めている部分があるらしいです。

 その中で、おそらく一番、自分の感情的に納得出来たのが(ややこしい言い方してます、すいません)きっと「嵐が丘」だったみたいなんですね。一先ずはそれで落ち着いたので、以後、敢えて東邦モノはポップネタ以外は避けていた気分もありました。
 正直言うと、東邦シリアスを書いている時が一番「恋愛モノ」を書いていると思ってます。なんたって設定でゴマかし利かないので(苦笑) 近年では近いトコいったのは「絶対専制君主の憂鬱」(コピー本・DISCOVERY掲載)で、あれは大学生だったけど、まぁ高校生ネタの延長と言えば言える…かな?

 と言うようなことでですね、今回は(も)分かりづらいネタをご披露しちゃいましたが、おまけで更にナニが言いたいんだかよく分かんない後書きも付け足されちゃいましたが、
「書いた本人はコレ、恋愛小説だと思ってます!」と。
 最後にほざいてお終いにしたいと思います。

 こんな場所まで、丁寧に読んで下さって有り難うございました。


2003.2 穂月りん



 
 

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