茂倉岳 雪渓
赤湯温泉 露天風呂
ハクサンイチゲ
アズマシャクナゲ
シラネアオイ
谷川岳山頂

谷川岳&赤湯温泉

日程:2012年6月3日(日)〜5日(火)
コースタイム:
 3日:清里(9:00)〜土樽登山口(15:00)車中泊
 4日:土樽登山口(4:10)〜矢場ノ頭(5:45)〜茂倉岳(7:05)〜一ノ倉岳(7:30)〜谷川岳(オキノ耳)(8:15昼食8:35)〜
    肩の小屋(8:45)〜天神平(10:35)〜ゴンドラ〜土合(10:50 13:50)〜土樽(14:10 14:30)〜車〜赤湯登山口(
    15:20)〜赤湯温泉(16:50)泊
 5日:赤湯温泉(7:55)〜赤湯登山口(9:30)

山行後記
谷川岳は天神平から登るのが一般的かもしれない。私は比較的登るのに簡単な山は安易なコース設定を嫌う。今回もゴンドラを使う土合からではなく土樽の茂倉新道を選択した。今回は昨年からマラソン挑戦のトレーニングで右アキレス腱と左膝側面の筋を痛めていたために思わぬ難儀を強いられた。
土樽の茂倉新道の駐車場には誰もいない。「そうだろうな!この時期そんなへそ曲がりは私ぐらいだろう」。車の中に13夜の明るい月明かりが差し込みウトウトとしてあまり眠れ無かった。3時30分起床。お湯を沸かしレトルトの中華丼を作り胃に流し込む。近くの高速道路のパーキングの灯りに来る蛾を狙ってヨタカがいるようで鳴き声がする。
ブナ林に入るとキビタキ、コルリなどが鳴いている。遠くでツツドリの声もする。快晴の日和である。ムシカリ(オオカメノキ)の白い花が目立つ。タムシバも純白の花を付けて芽吹いたばかりの萌黄色に彩りを添えている。

矢場ノ頭に到着。このあたりで森林限界線を越える。仙ノ倉岳や万太郎山が残雪を抱き美しく横たわっている。この周辺の山々はなだらかな山容が多く私は好きだ。ショウジョウバカマ、イワカガミ、イワウチワ、ミツバオオレンなどの花々が見られるようになった。シラネアオイの薄紫の花が揺れている。この花を見るためにやって来たとのだ!ハクサンイチゲが早くも咲きだしている。残雪の山は高山植物の宝庫でもある。

茂倉岳避難小屋が半分程雪に埋もれている。茂倉岳到着。この辺から脚の調子が良くない。アキレス腱を痛めているので踏ん張りが利かない。この山では危険な所が多くないとはいえ、踏ん張りが利かないとバランスを崩し滑落の危険がある。岩場はカッコ悪く4点確保(?)で這いつくばりながら歩く。今回は茂倉新道を登り万太郎山から吾作新道を下山する計画だったがこの調子では無理。谷川岳から引き返す案とカッコ悪くも天神平からゴンドラで下る案が頭の中で交差している。湯檜曽川の向こうには朝日岳を中心にして多くの残雪を抱いた山々が見渡せる。

一ノ倉岳到着。幽ノ沢、一ノ倉沢、マチガ沢と幾多の若きクライマーの尊い命を奪った岩壁が眼下に見える。手を合わせご冥福を祈って合掌した。ここから少しい岩場が続き谷川岳に到着。昼食をとり私としては長居をして帰路を考える。脚の調子を考えるとカッコ悪くもゴンドラで降りる事を決める。肩ノ小屋の直下には大きな雪渓が残っていた。雪渓を下りしばらくしたら天神平からの登山者が登って来た。「おはようございます。早いですね」と登山者。「土樽から縦走してきました」と私。ここまで誰にも会うことがなかった。

土合の合同慰霊碑公園(?)で再び丁寧に谷川岳で亡くなられた若き尊い命の慰霊碑に合掌した。約45年ぶりである。土合駅まで歩く。
駅で時刻表を見てびっくり仰天!土樽方面は9時50分発の後は13時50分までない。現在時間10時50分。トンネルの中を歩いて行こうかと真面目に考えた。

土合から3時間以上(?)かかって土樽駅に到着。車までトボトボ歩き。苗場に向かう。登山口から鷹の巣峠を越えて1時間30分で赤湯温泉に16時50分到着。脚は意外と動いた。鉄分の多い露天風呂に行く。旅館から手前が男湯でその先が女湯と表示されている。十分確認したが女性の後ろ姿が見える???「あのー入ってもよいでしょうか」と私。「どうぞ」と30代後半と思われる方がおっしゃる。
その後に伺った話ではこの方は露天風呂にかなり慣れている人で私の目の前で堂々とこちら向きで湯からあがり着替えをなさる。私は眼のやり場に困ってしまった。

宿のご主人が曰く、今日の苗場山は途中の橋が傾いている所や山頂付近は積雪もかなり多くマーキングも少ないので慎重に登れとのこと。今季はまだ1名が行っただけとのこと。いつもならそんな話は気にせず登ってしまうのだが今回は脚の調子が悪い。素直に聞き入れてしまい明日は赤湯から下山と決定。

今までは山に立ち向かう強い精神力の持ち主であると自負していた私だが昨年あたりから弱気な心が芽生え始めてしまった。山と度々喧嘩しながら登ったが最近は素直に体や山の言い分(?)に耳を傾けるようになった。喜んで良い事か加齢を憂うるべきか悩ましい。間もなく68歳になる初夏である。