酎ハイ雑学

 

レストラン、ホテル、旅館で酎ハイを見たことがあるだろうか?老舗居酒屋や日本料理店ですら無いというのが、今の酎ハイの現状(地位)を語る。 ホントの所はそれぞれの立場の方に聞くしかないが、おおよその想像はつく。先ず安っぽいイメ-ジ(焼酎など出したら、店の品位に関わる)、値段が高く出来ない(儲からない)、不味い(甘いジュ-スの様な酎ハイしか知らない)、手間がかかる(これは某居酒屋で実際に言われた言葉、.....納得) 等々 ワイン、ビ-ル、日本酒に比べ、ファン層と言う観点から見ても人気の無さは歴然!甲類が主の酎ハイは「本来は同じ仲間であるハズ」の乙類焼酎にすら、「こちら(乙類)は本格!あちら(甲類)は金の無い時飲むもの」とばかりに、見下される始末である。笑 焼酎の飲まれ方 戦後史(東京地区限定)

1. 焼酎ストレ-ト 甲類/乙類焼酎を問わず、あらゆる酒の飲み方の基本。もっとも素直に酒の味を堪能出来る。現在でもこの飲み方をする愛好家も多い。長い時間楽しみながら飲むには、チトきつい。

2. 焼酎+シロップ (戦後まもなく)焼酎をぶどう、梅などのシロップで割ったもの。戦後はバクダン、カストリに代表される、粗悪な商品も多かった為、割って飲みやすくしたといわれている。ちなみに今でも東京の下町酒場(立石宇ち多など)では、この懐かしのスタイルを味わう事が出来る。(中身の焼酎は当然現代のもの。) この頃の品質により、いまだに焼酎=安物、粗悪というイメ-ジから脱却出来ずにいる年代層、店も多々あると思われる。

3. 焼酎+ホッピ- (昭和23年登場)コクカ飲料株式会社(現ホッピ-ビバレッジ)より、麦酒様清涼飲料ホッピ-が発売される。実に酎ハイより歴史がある。但し工場の位置関係上、東京周辺の一部でしか飲まれていないと推測される。

4. 焼酎+炭酸 (昭和26年 曳舟三祐酒場にて誕生)いわゆる焼酎ハイボ-ル(チュウハイ)の誕生当時ハイカラな浅草辺りで流行してたウィスキ-ハイボ-ルを真似た自然発想的な展開。単調だが料理の味を崩さないし、甘ったる酎ハイに比べると、遥かにこの方が美味しいと思うのだが...ちなみに関西地区でこの頼み方をすると、不思議がられることが多い。

5. 焼酎+炭酸+元祖の素 (昭和27.28年)我がサイトが最も力を注いでいるのがココです。焼酎+炭酸だけでは、味が単調で飽きるので②の発想を取り入れた。この謎の液体は各店の個性であり、微妙に作り方が違う。東京下町では定着したが、全国的にこれを飲めるのは稀。多くは自家製の道を捨て(または知らずに)、飲料水メ-カ-の商品を買い、いきなり次のカクテル風酎ハイへの進化を辿ったのではないか?(想像)

6. 焼酎+炭酸+フレーバー 百家争鳴の時代へ、名称も古臭いハイボ-ル、酎ハイから、呼び名が新鮮なサワ-へと変える店も多い。

余談だが、サワ-という名称は新鮮で、いかにも現代風若者向きのネ-ミングだが、その歴史は意外と古く、今から40年以上も前に中目黒の居酒屋「ばん」のご主人が考案されたもの。当時客だった博水社社長のハイサワ-(昭和55年発売)商品化により、全国区の名称になった。 昭和50年後半 酎ハイブーム始まる。昭和58年 日本初の缶酎ハイ「ハイリキ」発売される。(当時は東洋醸造 商品名ハイリッキー)最近では夕張メロンハイ、パイナップルハイ、ウコンハイ、緑茶ハイとなんでもありの展開に.......中身も焼酎からウオッカを使用する物など、バラエティ-豊か。

 

亀甲宮焼酎

◆亀甲宮焼酎 (株)宮崎本店

下町で酎ハイを飲む機会の多い人なら、原色艶やかなラベルの「亀甲宮焼酎」をご存知だろう。「キンミヤ」と呼んだ方が、ピンとくるかも知れない。 このメ-カ-、ラベルをよく見ると場所は「三重県三重群楠町」とある。はて?どんな謂れで、遙か離れた東京下町で親しまれているのか... 調べてみると、亀甲宮焼酎のある三重県楠町は、大正から昭和初期にかけて、30数軒の焼酎メーカーがあり、鈴鹿山系から流れる鈴鹿川の良質の伏流水を使って、「灘の清酒、楠の焼酎」と賞された焼酎の一大産地だったそうだ。(いわれてみれば、近鉄名古屋線から見える、某大手メ-カ-の焼酎工場もあるな...) その楠町は伊勢湾に面し、海上輸送に適した所から、江戸時代より江戸の新川筋の酒問屋との取引が盛んだった。宮崎本店さんは古くから江戸の市場とは取引があったが、関東大震災を境にその結びつきがより一層深くなったという。代金回収を後回しにし、当時の樽廻船「宮嶋丸」に食料、日用品を積み、お得意先に配ったそうだ。以来、東京のお店との取引が連綿と今日まで続いているという。 余談になるが亀甲宮焼酎には、昔「甲類の金印」と「カストリ焼酎の黒印」の2種類があり、それぞれ愛称でキンミヤ、クロミヤと呼ばれてたそうだ。ちなみに現在カストリ焼酎(クロミヤ)は、製造されていない。

● カストリ焼酎 = 清酒の酒粕を再発酵し、蒸留した焼酎を指す。戦後に出回った粗悪な焼酎のイメ-ジが強いが、癖のある味が見直され、今では新たに製造を始めるメーカーも出てきているという。近所では京成曳船駅前「三祐酒場」隣の酒屋で入手可能。(天鷹酒造製)