〜要旨集〜


研究内容の要旨です。ご利用下さい。




〜1.学術論文〜


1)「バナナの生産と日本国内の需給動向分析」共著、『酪農学園大学紀要』第18巻、1993年10月、pp.7-27.

 バナナは、古くから栽培されており、その歴史は5千年とも1万年とも言われている。FAOの農業生産年報によると、世界で栽培されている果実の中で、バナナが最大の生産量をあげている。栽培は、熱帯・亜熱帯地域であり、現地住民の重要な食糧となっている。また、輸出されて温帯・寒帯地域の人々にも消費されており、生産国における外貨獲得の重要な一手段ともなっている。
 日本におけるバナナの消費は、そのほとんどが輸入され果実として食用されている。日本で消費される果実は、量的にみるとミカン、リンゴに次いでバナナであり、バナナは、年間を通して安定した価格で購入できるため、大衆的な食品という感が強い。
 ここでは、熱帯地域で重要な食糧となっているバナナが、日本でどのような需給動向となっているかについて分析する。

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2)「バナナの消費動向分析」共著、『酪農学園大学紀要』第19巻、1994年10月、pp.331-342.

 バナナは、日本国内の果実消費量でみるとミカン、リンゴに次ぐ地位にあり、現在では大衆的な食品となっている。日本では、商品的生産がほとんどみられないため、その供給を輸入に頼っているのが現状である。
 日本におけるバナナの輸入量は、昭和38年に輸入を自由化して以来急激に増加した。平成3年の輸入実績は、80万トンであり、輸入果実全体の半数を占めている。
 日本に対する主要輸出国は、年代を経るにつれ台湾、エクアドル、フィリピンへと移動しており、現在ではフィリピン産バナナが全体の7割以上を占めている。
 ここでは、輸入果実の代表であるバナナが、国内でどのように消費されているかを分析する。

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3)「バナナの地方別消費動向分析」共著、『酪農学園大学紀要』第20巻、1995年10月、pp.19-26.
 著者らは、輸入果実でありながら、日本国内の果物消費に大きなウエイトを占めるバナナに着目し、その供給および消費について検討してきた。
 果物の消費動向は、これまで様々な点から検討されてきた。石川は、月別果物消費の品目間相互関係から各果物間の競合・補完関係を分析し、出荷期の長いバナナはほとんどの果物と競合関係にあることを指摘した。藤島は、高度成長による消費構造の変化により、かつての代表的果実であったみかんやバナナなどの消費量が停滞し、消費品目・品種の変化・多様化が生じていると指摘した。一方、バナナを中心に検討した若槻は、バナナの所得弾力性が低下傾向にあることを指摘した。しかし、これらの報告は全国平均値での検討であり、地方別には検討されていない。著者らもこれまでは、バナナの消費動向を全国平均値で主に分析してきた。しかし、日本は南北に長く、季節変化も地域によって異なっている。また前報で見たとおりバナナの消費動向は地方毎に異なっている。そこで今回は、バナナの消費動向を地方毎に分析し、地方差の有無およびその要因について検討することとした。

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4)「生計費からみた農家生活の実態分析 −生活安定度の計測に関する試論−」単著、酪農学園大学大学院酪農学研究科修士学位論文、1996年3月.
 本稿では、農家生活の現状を分析し、農村開発における基礎データを提供することを試みた。そのために、生活安定度という新たな生活状況を表す指標を、生計費統計を利用して作成した。そして、この生活安定度を用いて農家生活の現状を分析し、被開発地域における農村開発の必要性を検討した。新たに指標を作成する理由は、既存の経済的にみた生活指標は、実際の生活状況を表すことが困難であると考えたからである。つまり、ここで言う安定度は、経済的な意味だけではなく、生活全般の安定を指している。また、生活の安定は、所得の向上などの経済的発展により直接導かれるのではなく、政治的・社会的不安や自然災害などの様々な要因が作用しあって変化する。

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5)「インドネシア・バンドンにおける酪農家の生活」共著、『北海道農村生活研究会報』第6号、1996年3月、pp.47-51.
 著者らは、1995年5月から7月にかけて、インドネシア共和国バンドン県パンガレガン郡(以下、P郡)にて、46戸の酪農家に対する経営調査を実施した。
 P郡酪農が発展した理由は、P郡が歴史的および自然的条件に恵まれていることも大きいが、インドネシアでも最大級の協同組合である南バンドン酪農協同組合による貢献も大きい。
 本稿では、このような状況下にあるP郡の酪農家の生活状況を生計費構造と労働面から分析し、今後の課題を考察する。

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6)「インドネシア・南バンドン酪農協同組合の役割とパンガレガン酪農の課題」共著、『北海道農村生活研究会報』第6号、1996年3月、pp.52-55.
 著者らは、1995年7月に、インドネシア共和国バンドン県パンガレガン郡(以下、P郡)に位置する、インドネシア最大級の酪農協同組合である南バンドン酪農協同組合(以下、KPBS)の調査を行った。本稿では、調査結果および収集した資料から、KPBSの活動内容とP郡酪農発展に対する貢献およびP郡酪農の課題について考察する。

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7)「インドネシア共和国レンバン郡における酪農の現状と課題」共著、『1996年度日本農業経済学会論文集』、1996年9月、pp.239-241.
 ここでは、1995年5月〜7月にかけてインドネシア共和国バンドン県レンバン郡(以下、L郡)において酪農家および酪農協同組合を対象に実施した調査を元に、L郡酪農の現状と課題を分析する。
 インドネシア共和国は、赤道を挟んで南北約1,900kmの範囲に大小多くの島として広がっており、その国土全体は熱帯圏に位置している。しかし、バンドンなどのジャワ島内陸部は、1,000m以上の山が多く比較的冷涼な気候条件にある。特に今回の調査対象地であるL郡は、標高約1,300m、気温15〜24℃(平均19.5℃)、年降水量2,459mmという良好な気候を利用して、ホルスタイン系乳牛による酪農が、ジャカルタやバンドンに居住する欧州人に乳製品を供給する目的でオランダ統治時代から行われてきた。

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8)「農村・農業開発における阻害要因としての性差別」共著、『酪農学園大学紀要』第21巻、1997年2月、pp.251-261.
 近年、男性とは違った女性の役割を考慮することがより効果的な開発事業につながるという視点から、「女性と開発(WID)」というテーマが、農村開発における主要な課題の一つとなっている。この背景には、女性の置かれている厳しい現実がある。つまり、農村における女性は、主業である農作業の重要な担い手であると同時に、出産、子供の教育、家族の健康管理などの分野において重要な役割を果たしているにもかかわらず、その社会的地位は低く、過酷な労働条件下にあり、また十分な教育機会が得られていない。この原因は、多くの社会が男性中心となっており、女性に対する性差別が存在していることである。
 そこで本稿における課題は、効果的な農村開発を進める上での阻害要因と考えられる性差別の根元をいくつかの要因から探り、性差別の解消のために必要な方策を提示することである。

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9)「南スラウェシ州における白色スイギュウに関する調査」単著、『熱帯農業』第41号別号1、1997年3月、pp.79-80.
 本研究は、畜産遺伝資源としての白色スイギュウの南スラウェシ州における分布状況を調査したものである。南スラウェシ州には、白黒斑スイギュウを好むトラジャ族と、建国神話に白色スイギュウの現れるブギス族が居住している。このように、ある民族が重要と考えている特定の形質は、科学的に解明されていなくても未知の畜産利用資源として考えた場合、無視し得ない問題と考えられる。
 調査は、1994年11月に、南スラウェシ州南西部において実施された。調査対象地は、Barru県、Pangkep県、Maros県、UjungPandang市、Gowa県、Takalar県、そしてJeneponto県の7市県を通る国道および州道沿いの地域である。

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10)「酪農家の家計消費に影響を及ぼす要因 −インドネシア共和国・バンドン県の事例から−」共著、『1997年度日本農業経済学会論文集』、1997年12月、pp.327-331.
 近年におけるインドネシアの急速な経済的発展は、国民の生活水準を確実に向上させている。しかし、国民の多くが居住する農村の生活水準は、都市に比較して低いのが現状である。
 開発途上国における貧富の格差は、避けがたい問題ではあるものの、より小さいことが望ましい。したがって、この格差縮小のためには、適切な開発プロジェクトが貧困地域・階層に対して行われる必要がある。しかし、ある国・地域の開発においては、その地における独自文化などの固有な要因が影響するため、普遍的な開発手法が得難く、適正な指針があるとはいえないのが現状である。
 そこで本報告における課題は、筆者らがバンドン県P郡の酪農家に対して実施した調査データから農村の生活水準向上のための対策を具体的に検討することである。そのために、生活水準と密接な関係にある家計消費額に影響を与える要因を分析する。

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11)「バンドン県P郡における酪農家経営分析」共著、『農業経営研究』第36巻第2号、1998年9月、pp.123-126.
 本稿の課題は、インドネシアにおける酪農の発展可能性を検討するために、先進的とされているP郡酪農家における経営上の問題点を明らかにすることである。そのために、まず、酪農所得がプラスの酪農家(以下、プラス群と呼ぶ)とマイナスの酪農家(以下、マイナス群と呼ぶ)の2群に分類して比較し、酪農所得がマイナスとなる原因を分析する。次に、プラス群を経産牛頭数規模別に分類し、その経営状況を分析する。そして最後に、これらの分析結果から得られたP郡酪農の問題点をまとめる。つまり、こららの問題点の解決が、インドネシアにおける酪農発展の鍵といえる。

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12)「インドネシアにおける乳製品の供給構造」共著、『酪農学園大学紀要』第23巻、1998年10月、pp.81-90.
 インドネシアは現在、1997年7月に端を発した経済危機により、経済的・政治的低迷状態にある。しかし、近年同国が達成した急速な経済成長を否定することはできないであろう。この経済成長に伴い、同国における国民1人当たりの畜産物消費量は、1970年の4.8kgから1995年の18.5kgへと増大している。中でも乳製品は、国民の栄養水準向上に有用であると考えられているため、その消費量の増加が期待されている。
 しかし一方で、インドネシアの酪農は、その生産性が低く、十分な国内生産量が確保できていないという現実がある。
 このような背景において本稿の課題は、特に経済成長による影響に注目しながら、インドネシアにおける乳製品の供給構造を明らかにすることである。つまり、経済成長により増大する乳製品需要に応えるための供給側の課題を整理することである。

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13)「インドネシア共和国の酪農の経営分析 −バンドン県L郡における酪農実態調査−」共著、『1998年度日本農業経済学会論文集』、1998年12月、pp.447-450.
 インドネシアが現在直面している通貨不安は、輸入量を減少させ、牛乳乳製品の供給不足および価格高騰という事態を発生させている。このことを考慮すれば、国産品の供給量を増加させることは、急務の課題と考えられる。
 ここで、現在置かれている条件下において、インドネシアの酪農家が生乳生産を増加させるために取りうる選択肢には、飼養頭数規模の拡大がある。つまり、牛種の育種改良などによる単位生産性の向上は、現状の技術水準では制限されると考えられるためである。
 そこで本稿における課題は、筆者らが実施した酪農実態調査の結果をもとに、インドネシア国内の酪農家が生乳生産量を増加させるための一手法である飼養頭数規模拡大の可能性を、経営的側面から考察することである。

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14)「インドネシア共和国における酪農の成立要件に関する研究」単著、酪農学園大学大学院酪農学研究科博士学位論文、1999年3月.
 本研究の課題は、インドネシアにおいて酪農がどのようにして成立し、また発展してきたのかを様々な視点から分析し、その成立要件をまとめることである。
 分析結果から得られたインドネシア酪農の成立要件は、以下の5項目にまとめることができる。すなわち、@乳製品が国民の食生活に取り入れられた、A酪農に適した立地条件があった、B酪農政策および酪農協同組合という支援体制があった、C酪農経営から経済的利益が得られた、そしてD酪農が地域社会から評価されてきたことなどである。

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15)「インドネシアにおける乳製品需給の現状」共著、『農業経営研究』第37巻第2号、1999年9月、pp.119-122.
 インドネシアは、スハルト前大統領の進める開発計画により実質GDPで年率4%の経済成長を遂げてきた。また、国民の実質所得水準は、1973年から1992年の20年間に2倍以上の増加を示している。このような生活水準の変化は、食生活をも変化させた。つまり、同国における国民1人当たりの畜産物消費量は、1973年の6.1kgから1992年の12.9kgへと2倍に増加したのである。
 経済成長に伴う食生活の変化は、多くの国々において経験されており、一般に畜産物の消費量は、国民の所得水準と密接な関係があるとされている。そこで、本稿の課題は、@インドネシアにおける畜産物消費の動向と国民の所得水準との関係、およびA乳製品の消費動向に影響を与える要因を分析することである。

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16) 「マレーシアにおける牛乳乳製品の需給動向」共著、『1999年度日本農業経済学会論文集』、1999年12月、pp.505-508.
 マレーシアは、東南アジアでも有数の経済成長を遂げてきた国の一つである。実質GDPの推移は、1980年には445億RMであったが、1997年には1,407億RMと18年で3倍以上の増加を示している。また、1997年における国民1人当たりGDPは、12,710RM(4,523米ドル)となり、世界銀行および経済協力開発機構などによる分類によると、上位中所得国に位置している。
 このような経済成長は、国民の食生活にも変化をもたらしたと考えられる。つまり、マレーシアにおける伝統的な食生活は、本来、米食を中心としたものであった。しかし、近年における食生活は、特に都市部において、所得水準の向上およびファーストフードを代表とする西洋式外食産業の浸透・普及に伴い、肉や卵などの畜産物が多く取り入れられてきている。また、牛乳乳製品に対する需要は、人口の約1割を占めるインド系住民を中心に広がっていると考えられる。
 そこで本稿における課題は、マレーシアにおける牛乳乳製品の需給動向を分析することにより、その消費動向に影響を与えている要因を考察することである。

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