遥か昔、中原を追われた民があった。
何時の日かまた名を成さんと、民族の伝統を連綿と伝える一族があった。
客家・・・「よそもの」と言う意味である。
だが、あえて断言しよう!彼らこそが本来の中国人であると!!
これは、客家人の奥深い文化に挑んだ、小さくも愉快な日本人達の記録であるッッ!

台北ドラゴンシリーズもいよいよ最終章、客家料理の登場である。
このあとは、次に台北行くまでお預けである。
これを読んでいるそこの君にも、アナタにも、次回の台北タイガーシリーズにはぜひ参加していただきたいと切に願う。これは肉弾頭の祈り。
パスポートを用意して待っていてくれ。
待てねーよッ!というせっかちな向きもあるだろうが、そう言う人こそ大歓迎だ!言い出しっぺてくれたまえ。一緒に企画しようではないか。

さて、2日目の昼。
「台北ドラゴンシリーズ1 ザ・雲南」に語られた感動の一夜の翌日、「台北ドラゴンシリーズ3 山西狂刀ひとり旅」の肉弾頭の悲劇の数時間前のことである。
時計の針は午後1時を回っていた。最も暑い時刻である。
「暑い。そしてひもじい」
「潮時か・・・・・・」
汗だぶだぶの我等食べまくり5人衆。マンガ探しはとりあえず切上げて、また台湾食マジックの幻に巻かれようかという相談である。
「北京か?客家か?」
大通りを挟んで向かい合う2つの料理店。
「俺は、北京ダックが食べたい。本物のダックが!!」
ブルースが吠えた!そうだ、ダックだ!ドナルドでもハワードでもない、ダックの中のダックが、そこにはいる。
北京か?北京なんだな?北京でいーんだな!?おい!
「そーだよな、客家なんて、どんなもんが出るかも判らないのに・・・」
しかし、誰かの何気無い一言が俺たちの食べバカ魂に火を着けた。
いつだって、食べたことないものが一番ただしい。だって、俺たちの価値観を揺るがした食いものはみんな、それまで食べたことがないものばかりだったもの・・・・・・
「いくぞ、客家だ!」
「応ッッッ!!」
「ええ〜〜〜?」


「たのもう!」
客家とは、武人の風を持つ民族である。俺たちはその店に乗り込んだニッポンのサムライである。いやさ、バカどもである。
だが・・・
「あと45分で昼の営業時間は終了ですよ」
なに〜〜〜
時間が・・・時間がないだと・・・
5人はいっせいに後ろを向いた。
・・・いいや、違うね。尻尾を巻いて店を出ようなんて意気地なしは一人もいやしないサ。
男の中の男は背中で人生を語るという。・・・勿論、俺たちの中には男の中の男なんていないかもしれない。
けどな、一流の食いしん坊は背中で食欲を語ることさえできるんだぜい。
「45分あれば、充分!」
食い尽くしてやるぜ〜


ここからが本当の闘いだ