職安通りに面した狭い路地、それも階段を降りた半地下のような空間に、3つの店が文字通り「軒を並べて」いる。
夕暮れの時間、ちょいとそこを覗きこんだ俺達は何故かクラクラとする眩暈のようなものを感じた。
・・・・・・違うッ!ここは、何かが違う。
異空間。
日本でも韓国でもない、独立区新宿ならではの独特の雰囲気がココにはある。

ふらふらと、肉弾頭とブルースは3軒の一番手前の店「武橋洞--ムギョドン--」に足を踏み入れていく。

4人掛けきれるか?という小さなテーブルが4卓あるだけの小さな店。
混む時間ならばあっと言う間に満席になってしまうだろう。
運良く戸口脇の卓を占め、韓国焼酎眞露と、あと気になるメニューをざっと頼んだ時、衝撃の事実が判明した!
に、日本語が通じねえ・・・・
いや、全く、ってワケじゃあないんだよ。二人のおばちゃんのうち、手伝いで入っているらしい若い方の人はカタコトなら通じるから、なんとか注文には支障なかったんだけど、
・・・・嵐の、予感がするぜ・・・・
俺とブルースは目線で同意し合った。
かつて、日本語の通じない店は何度か当たった。そして、そのほとんどが大当たりの店だったのだ。
うちな〜家(食べまくりバカ「山羊よ!山羊よ!」参照)を、狙いの山羊刺しが無かったので早めに切り上げ、軽くやり直すつもりで入った韓国料理店でこんな期待感に包まれるとは。
人と食との縁は、捨てたもんじゃあない。


豚ばら肉の好きなブルースの頼んだ豚カルビ。ニンニクと一緒にほどよく炒めて、ウマイ。
噛み締めると、脂が広がる食感。そして、酒が進む。
しかし、むしろ白飯じゃあないのか?などとも思ったり。



俺が気になったメニューは、子袋の刺身。
それがこれだ!真っ赤っ赤。オマケに青唐辛子の刻んだのも入っていて、辛さに余念が無い。
しかし、それ以上に甘く、コクのあるタレ。そしてコリコリ食感の子袋(子宮と卵管)。
コレもまた酒が進む。しかし、箸を止められぬアト引く旨さ。
コリ、ピリ、コリ、コリ・・・・・・うへえ、コレはまた食べたいぜ。



ご存知、チヂミは定番だ。
油を良く吸わせてパリパリにした表面が、また良くタレを吸い込む。
ああ、タレと油、そしてニラ・・・・ウマイよ。定番だけどあらためて吃驚するよ。ウマイよ。



コムタンは、白濁したテールスープにゴハンを入れた雑炊。
味付けは、卓上のカクテキ(大根キムチ)でお好みに調整しながらいただくのです。
ふうう、満腹。ホッとする締めの必殺技です。

てなわけで、地味ながらも韓国濃いコク料理の濃さをぶつけてくる武橋洞。
くせになる店だ。
結局、俺とブルースはもう一度来てしまったのだけど。

そんときは、子袋刺しやチヂミのほかに、石焼きビビンバも食べたのです。
これまた定番だけどね。




よーーーーく混ぜて食べましょう。





これくらいは、ね。


では、つづいて武橋洞のま隣の店にも入ってみましょうか

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