もはや、燃え尽きるとも是非にあらず
2002年2月11日、無事に総ての日程を終え、帰路につく我等食べまくり六人衆。
おりしも、その日は中国暦で大晦日。日頃、猥雑なほどに活気に満ちた台北市の、更に中心地であるな台北駅も、今日は静かでどこか物寂しい。
余裕を持って中正機場(空港)につくためには、逆算して、この台北市内に楽しめるのは残り2時間である。
台北駅発空港行きのバスチケットを先に買って、さて、あと2時間でナニが喰えるかという矢先、ふなっが爆弾を発言した。
「ああ、ホテルに上着忘れた」
皮である。内毛張りである。
日本での待ち合わせ時に「熱帯に行くってことが判ってるのか?見てるだけで暑いよ、お前」と酷評されたハーフコートを、ホテルの部屋に忘れてきたというのだ。
滞在中、曇りと小雨が続き、台湾にしては涼しかったと言っても、そこは南国である。流石に四日間の間にふなっがそれを着ることは一度たりと無かった。
丁度その存在を忘れる頃合いであったのだろう。
ホテルまで、地下鉄を利用すれば20分ほどか・・・・・・ああ、ふなっは飯を喰う時間がなくなってしまうなあ…などと薄情なことを考えていると、
「ホラ、肉、さっさとふなっを連れてってやれよ」
「え、俺?」
「コイツ一人じゃ迷うかもしれないだろ」
さも、当り前のように言い放つすの字。あとの3人も、さも当然そうに頷く・・・
って、確かにそれが一番合理的か。
さて、ホテルで無事に忘れ物を確保し、しかしホテル近くに手頃な飯屋を発見できずに結局駅前まで戻って来た俺とふなっ。
出発まであと1時間。台北最後の貴重な一食を、何を食すのか?重要な課題であるが、しかし、あろうことか、店が全然開いていない!?
さすが大晦日である。最後の一食をケンタッキーや吉野家(は開いてる)で間に合わせたくない俺らは、時間と戦いつつ、必死に捜し歩いた。
時間もないが、定食屋の胆仔麺や餃子ならすぐ喰えて、なにしろ旨い。そういう台北的な店を標的に歩いているのだが、普段は日本の電柱よりも頻繁にぶちあたる店の総てが閉店状態である。
これは、ヤバイ。
ピンチに陥った俺、肉弾頭の脳裏を台北での楽しかった食ライフが走馬灯のように駆け巡った。
この外伝2では、この時駆け巡った飯のうち、台北タイガーシリーズ本編では語られ得なかった肉弾頭個人の食記録を紹介する。
ちなみに、2002年3月5日現在、未だ台北タイガーシリーズ本編は全く書かれていない。
“本編では語られ得なかった”じゃねーよな、全く。
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