「秋葉原は食のエアポケットである」
ってことが、ワリと前から俺達の常識になっていた。
実際は「電気街近辺が」なんだけどね。反対側の駅出口とか、探せば結構あるんだけど、一番“秋葉ぽっい”辺りから店を探して歩くといつのまにか上野であった、なんて経験は結構しているんで、あんまり秋葉原という街には期待してなかったワケですよ。
しかし、2年くらい前になりますかね〜
ぼちぼちと、食べまくりとか歩きまくりをやってた頃なんだけど、俺、肉弾頭が欠席した時に秋葉原(御徒町寄り)で発見したベトナム料理店がイイ!という話を後日聞かされた。
「じゃあ、連れてってくれよ」
「え〜?同じ店に2度も行くってのは、な〜」
とか、タキオンとブルースと3人で秋葉原から上野方面へ歩き出した時も、
「あれ、ベトナム料理屋行くんじゃなかったの?もう通り過ぎたよね」
「え!?マジ?行こうよ、そのベトナム料理屋っての連れてってよ!」
「え〜?ナニ、この俺に一度通りすぎた道を“戻れ”ってゆーの?戻らないのが俺らのポリシーじゃなかったけかァ?」
などと意地の悪いブルース。
そのほかにも、
「あのアオザイのおねーちゃん、むちゃくちゃ可愛かったよな〜。アオザイサイコー!!」
などとほざくブルース。
しかし、この、「アオザイサイコー!!」こそが、ヤツにとっての最優先事項かもしれないのです。
そんなある日、「アオザイを着たおねーさんのいる、おいしいベトナム料理屋が秋葉原にある!」という書き込みをグルメ系サイトに見出した俺は、喜び勇んで、単身、紹介された店に乗り込んだのです!
その顛末は、ちょうど「徒然肉」に残っているのでここに再現してみよう。
3月24日
今日は秋葉原でベトナム料理を喰った。
ちなみにこの「秋葉原」という地名、その昔、秋葉さんのお屋敷があったところだが、維新後に寂れて原っぱになってしまった、というのが語源らしい。
つまり、正確には「あきばはら」と発音するのが正しい。
我が心の師、山田風太郎が言っていたので間違いはあるまい。
ところでこのベトナム料理屋、ブルース達は一度喰ってうまかったとかで自慢はするが連れていってくれない、という状態が永らく続いていた。
ついに念願が叶ったというわけだ。
その名も「ドングーア」
「アオザイのお姉さんが可愛い」とかブルースがほざいてたけど、時間が早かったせいか、青いエプロンのお姉さんがいるだけだった。しかし、可愛いのは本当だった。
最近、ブルースと女の子の趣味が重なっているような気がしていやなんですけど。
さて、飯だけど、まずベトナムビール「サイゴン」で生春巻きを。
ビール嫌いを公言している俺ですが、東南アジアのビールとヨーロッパのビールは美味しく飲めることが2年ほど前から判ってきました。
つーか、日本とアメリカのビール以外は結構好き。
次はゆで豚か豚の串焼きか、迷った。一人で喰う場合、品数を絞らなくては喰いきれないのが辛い。
どちらがお薦めか聞いてみる。結果、
茹で豚に決定!!
また、これがボリューム満点。
ライスペーパーにサニーレタスとか豚とか大葉とかきゅうりとかソーメンとか巻き込んで食べるんだけど、この時点で生春巻きと被ってるんだけど、確かにうまいんだけど、ココで一言苦言。
「カイワレは止めて香菜にして下さい!!」と、言ってみたい。
で、いよいよメインに行くかァ。
「フォー(鶏ダシスープ)がウマイ店」とブルースがいつも言っていたのを思いだし、メニューのページを繰る。
どーやらこれだ。「鳥肉うどん」と「鳥おかゆ」。このどちらかで締めとしよう。
「これ、どっちがお薦めですか?」
先刻の茹で豚がおいしかったのでまた聞いてみると、
「どっちも違うおいしさですから・・・・・」
と言葉を濁される。
つまり、どちらか一方を選べばもう一方のおいしさは味わえないということ・・・・・・
すでに結構な量を腹に入れている。炭水化物の入ったスープものを更に2品入れる隙間などない。
だが、俺のキャッチフレーズは「一期一会」。再び喰う機会があるとは保証されない料理を見過ごすことなど・・・しかし、「腹も身の内」だし・・・
そのとき、耳元でカナダのピットファイターが囁いた。
「今日ウマイモノガクエレバ、明日ナドイラナイ・・・ソウイッタナ」
「じゃあ、この鳥肉うどんと鳥おかゆ・・・・・・下さい」
まず、鳥肉うどん
これだ!慈愛に満ちたスープ。きつくない、されどゆるくない。ケレン味のないスープに幅広つるつる麺。イケル。
さて、次は鳥おかゆ
うう・・・胃袋がパンパンだよゥ!
おや?うどんに較べて、スープのコクが強いぞ。
おそらくこれはエビ油の調味料。独特の甘味がある。
なるほど、「違うおいしさ」とはこういうことか。ありがとうお姉さん。無理してでも両方喰ってよかったよ。
デザートは別腹なのでフルーツを。
ヤシの実とかランプータンとかロンガンとか仙草ゼリーとかもあったのですが、
「クセがあるけど、馴れたらクセになるかも」とメニューに紹介された、
ジャックフルーツにしたのでした。
今の俺にピッタリの名前だし。
しかし!!
「徒然肉読んだけどな〜、お前、アレ、違うぞ。俺達が行った店はドングーアじゃねーぞ」
と、翌日ブルースから電話が入った。
ガーン!!
は、恥ずかしい〜
穴に入りてェ〜〜
こんなこと書いて、もしもホントのアオザイの店が、ドングーアとはレベルが違うッ!ってくらいのウマさだったら、切腹モンだ〜〜!!
つーわけで、俺はビクビクしながらブルース、すの字とともにその店に行くことになってしまった。
その店の名は・・・
そして、こーいうモンとか食べました。
果たして、そのお味の程は?そしてドングーアとの優劣や如何に!?
以下、次頁。
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