川越駅の近くにあるぞ、ギリシャ料理。
“食べるな”!?食べてーよッ!喰わせろヨルゴス!!
などというシャレを何度繰り返したことか。
まァ、要するにギリシャ語なわけです、タベルナ。
“大衆食堂”的な意味合いらしい。高級レストランはエスティアトーリオと呼ばれるとのこと。
この、店確かに庶民的。店内は薄暗くムーディーだが、夫婦2人で5〜6卓の小規模経営。特にギリシャファンの親父さんのほうが、もう、とにかくギリシャ好き。
注文が途切れて手が空くと、厨房を飛び出してギリシャの弦楽器ブズーキでギリシャの音楽を掻き鳴らし始めるし、奥さんの手を取っていきなりギリシャダンスを踊り出す。
客が少ないときには、テーブルを片付けて・・・・・・客にダンスのお誘いですか!?
ええ、俺も一回参加しましたよ。フォークダンスみたいなもんで、単純なステップさえ覚えれば誰でも仲良く踊れるんだけど、
一曲終るたびにギリシャのスピリタス“ウゾ”をワンショット奢ってもらえるので、3曲くらい踊った最後はただの千鳥足踊りになってしまうわけですわ、これが。
「これがギリシャの風習だから」と言われると断れない。全部飲んだけど、飲んで動くと良く廻る。
さて、肝心要のギリシャ料理とは如何なるものか?
写真は2回に分けて撮ったものを出しているんで、まずは前菜的なものから。
上の写真はタラモとオリーブのペースト。ピタパンにつけていただく。
下のはサラダ。ヨーグルトソースをかけていただく。
ピタ?ヨーグルトソース?
トルコ料理でよく出る食材。味付けもかなりトルコ的。
ここがギリシャの辺境たる所以。
ギリシャが文明の中心だったときは古代。ローマに支配され、ローマ地中海文明の辺境として数百年。ローマ分裂後は東ローマ帝国の中心として“ローマ”として生きながらえたものの、15世紀にはオスマントルコ帝国の巨大版図の西端の辺境になってしまう。
辺境!
ローマ、トルコの巨大帝国の支配に翻弄され、各地の文明が折り重なった国際都市国家ギリシャ。
今では観光のために古代ギリシャを売りにしようとしているけれど、このトルコ的中東食文化と地中海食文化の折衷こそがこのギリシャ料理。
日本ではあんまり知名度が高くない。しかし、古代文明の保持者としての矜持をもちつつ辺境であることをあっけらかんと受け入れてきたギリシャ人の陽気さを支えてきたのがこの料理だと思うと・・・・・・うん、納得。
ピタは油をあまり使わないため、派手な味はしないが、シッカリした生地には地味なシッカリした味。料理を挟むにはこれくらいが丁度いい。
これがギリシャ料理を代表するムサカ。
ナスに挽肉を合わせてチーズ乗せて焼き上げる。
このナスの染み出した甘みがいいんだ。
ピンボケで悪いが、この断面を見て欲しい。
肉汁が、ナスの汁と混じって染みでくくるんだ。ギリシャ料理を食うときは、是非コレを食べてみて欲しい。
次にお気に入りのヤツ。これ。
イェルミスタ
トマトに米を詰めてオーブン焼しただけの素朴な料理だが、実に旨い。特にギリシャっぽい料理って?と聞いたときに、ムサカについで教えてもらったのがこれ。
ちょっとトルコ風、微かにイタリア的?でも、完全にどちらでもない、初めて食べる味。
これが、ギリシャ料理ってことかな?
素朴な、地に足のついた料理。安心させる味だ。
ドルマデス。ブドウの葉で米を包んだギリシャ春巻き。
パリパリで中身は味と香りが染みたアツアツの風味。これも、外すわけには行かないなァ。
ここで、ピラフのプレート。いろいろ乗ってるので、初めて行くときはお勧め。ムサカもあるし。
ここで特筆すべきは、赤い生ハムみたいなヤツ。
これ、ハムでもトマトでもなく、赤パプリカ。あの、肉厚のピーマンだ。
口に入れても暫く判らなかった。だって、凄いしっとり、とろ〜りとしているんだもの。
ギロ。肉です。肉を何層にも重ねて串に刺したものを、串ごと焙って、焼けたところからそぎ落としていった、中東でも良く見るあの焼肉。
垂れた肉汁が肉に染み込んだところを更に焼き上げた肉のコクのある肉。
コレだけで喰うと流石に肉ッぽ過ぎるよ。そんなもの喰うのはブラジル人だけだよ。
安心を。ここでピタの出番です。肉の旨味を優しく包んでくれるピタ。
これが本来のピタの使い方。当たり前に旨い。旨すぎる。
最後にコーヒー。濃い味わいの後には濃いコーヒー。ギリシャコーヒーはトルココーヒーほどじゃないが、でも、かなり濃いぞ。
とても安心できる味。馴染める味ゆえに、ついついレビューを忘れてきたわけだが。
しばらく、イタリア、フランスなどのメジャーから少し外れた辺境の料理を食べまくってみる予定。
しかし、あくまで予定は未定。
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